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青の旅路はまだまだ続く〜高校生が考える宮沢賢治展 Vol.3 【週刊新陽 #98】

今年1月にニューヨーク・タイムズ紙が発表した『2023年に行くべき52カ所(52 Places to Go in 2023)』で、ロンドンに続く2番目に盛岡市が紹介されていたのをご存知でしょうか。(詳しくは記事をご覧ください)

その盛岡に、『高校生が考える宮沢賢治展』がとうとう上陸!

昨年5月にサツドラ北8条店8月に札幌市役所ロビーで開催した展示会に続く第3弾です。

賢治さんの故郷で、北海道の高校生だから伝えられる来道の軌跡。
岩手の皆さんに知ってほしい札幌の魅力。

企画展『高校生が考える賢治と北海道展〜心象スケッチ「札幌市」から』、4月16日迄、もりおか啄木・賢治青春館で開催中です。ぜひぜひ足をお運びください!

「伝えたい!!ビュウティフルサッポロ」

12月、プロジェクトを進めてきた有志生徒4名と髙橋励起先生が盛岡に行き、もりおか啄木・賢治青春館でこれまでの活動についてプレゼンしたときのことです。なんと、「うちで企画展やりませんか?」とオファーをいただいたのです。

あれよあれよという間に実施が決まり、2ヶ月に渡り開催いただくことになった『高校生が考える賢治と北海道展〜心象スケッチ「札幌市」から』。2月18日(土)のトークイベントに合わせ、3名の生徒が岩手に再訪しました。イベントには札幌市広報部長の加藤さんも登壇くださることになりました。

以下、生徒が宮沢賢治文学を探究するきっかけを作り、生徒たちに伴走してきた髙橋励起先生によるイベントレポートです。みんなの緊張、頑張り、そして彼らが引き寄せたセレンディピティが伝わってくるので、そのまま引用させていただきます。

『青の旅路 盛岡でコンフォートゾーンを超える』

もりおか啄木・賢治青春館で行われたトークイベント「伝えたい!!ビュウティフルサッポロ」が無事に終わりました。

生徒たちにとって、人生初めてのトークイベント主催です。
14時になると、定員いっぱいのお客様が来場され、生徒たちも極度の緊張状態に・・・。
岩手日報、盛岡タイムスの取材も入りました。

今回来れなかったメンバー、宮下凛が事前に用意してくれたシナリオを、必死に目で追いながらイベントを進行していくメンバー。
明らかに普段より歯切れの悪いトークで、伝えたい内容も飛び飛びになります。
寺分は緊張のあまり、プロジェクターのコンセントを足に引っ掛けてしまい、断線する始末。
しかし、そこは札幌市広報部長の加藤さんが上手に軌道修正してくださいました。

イベントが進行するにつれ、生徒たちも笑顔を取り戻し、寺分のキャラクターもお客様に認知され(笑)、いつの間にか会場が和やかな雰囲気に。
歌夏、響、寺分、それぞれ伝えたいことを出し切ったのではないでしょうか。
質疑応答も活発に行われ、気が付けば予定時間を超過し、あっという間の90分でした。

トークイベント終了後、奇跡が起きます。
なんと、盛岡宮沢賢治の会の例会にご招待いただきました。
宮沢賢治の会は、賢治さんが亡くなった翌年に発足した、一番歴史のある会です。
宮沢賢治の詩友で、岩手県初の直木賞作家である森荘已池さんの娘さん、詩人の森三紗さんもいらっしゃって、感激。
三紗さんから著書をプレゼントしていただきました。

奇しくもこの日の発表は、賢治さんの修学旅行に関するもので、これまた内容もどんぴしゃり。
運命なのか、縁なのか、賢治さんを通した結びつきを強く感じることとなりました。
生徒たちも、堂々と発表をしてくれました。
会の皆さんも、生徒たちの取り組みを絶賛してくれて、本当に嬉しかったです。

目の前で、軽々と自分のコンフォートゾーンを超える生徒たち。
そのエネルギーは、一体どこから湧いてくるのか。
上手く伝えることが出来ませんが、すごい瞬間に立ち会った気がします。

2023.2.18 髙橋励起先生のFacebookより
(Photos by Koki Takahashi)

広がる出会い、つながる縁

励起先生も書いている通り、『新陽高校・宮沢賢治文学を研究する会』の活動は、偶然なのか必然なのか、たくさんの出会いが重なり、想いがつながって広がってきました。

今回、企画展とトークイベントを主催したもりおか啄木・賢治青春館は、ジャーナリストで作家の外岡秀俊さんがつないでくださったご縁です。

青の旅路 宮沢賢治と北海道』は、2018年5月に有志生徒が中心となり新陽高校が制作・出版した副読本です。その取組に注目し新陽を取材し、朝日新聞北海道版のコラム『道しるべ』で記事にしてくださったのが外岡さん。その後、啄木・賢治青春館に『青の旅路』を紹介してくださったのだそうです。

外岡さんは2021年12月に急逝され、今回の企画展にお越しいただくことはできませんでしたが、きっとどこかで見てくださっているはず、会場にいるとなんだかそんな気がしました。

啄木・賢治青春館にも置いていただいていました
励起先生が外岡さんについて書いた文章(企画展内展示)

探究の旅路は続く

トークイベント終了後、3人の生徒が感想を送ってくれました。

既に活動は学校の枠を超え、北海道を出て、どんどん広がっていますが、さらに次の目標が生まれたようです。

今回現地には行けなかった宮下凛さんを含め4人は、3月1日に卒業式を迎えます。高校生でなくなる彼らが探究していく宮沢賢治、今後も楽しみです。

【髙橋響】今回、 感じたことは、私たちの言葉に多くのリアクションが返ってくるということです。 これまでお客様と1対1で対話することを大切にしてきました。一方、私たちメンバーの言葉にたくさんの反応をいただくことができる、それがトークイベントなのだと、やりながら気づきました。
ただ、お客様の反応に100%でなかなか返すことができず、序盤は私たちの伝えたいことが伝えられない瞬間もありました。 その中で加藤さんが一つ一つ私たちの伝えたい気持ちを整理してくださり、後半にかけ少しずつ自分でお話しできました。
今回一度にたくさんのお客様からリアクションをいただいて、改めて新たな視点、見方を知り、新たな学び・行動に向けビジョンが大きく見えた瞬間もありました。 そして何よりも宮沢賢治の故郷・岩手のもりおか啄木・賢治青春館で、たくさんの方々との出会いをいただいたからこそ実現できたあの場所で、お客様からの熱い思いを受け取ることができ、大切な一日になりました。 

【佐藤歌夏】今回、盛岡で宮沢賢治に関する展示会を行えたことを嬉しく思います。同時に、札幌と宮沢賢治に関する情報を発信する側としての責任感や緊張もありました。
トークショーでは沢山の反省点がありますが、宮沢賢治についてお客様から学ぶことも多くあり、その中で詩碑建立へのヒントも得ることができたため、とても良い時間にできたと感じています。
今回の展示会でお世話になった、先生方、青春館の方々、地域の方々、加藤さん、お客様などへの感謝の気持ちを忘れずに、詩碑建立に向け、今回のトークショーで受け取った盛岡の方々の熱を胸に今後の活動も全力で取り組んでいきたいと思います。 

【寺分光牙】今回の展示会は、今までとは違い、自分たちがトークショーをするという形で参加をしました。自分たちが思っていたよりトークショーで話すのは難しく、当日は上手く話すことは出来なかったのですが、見ていたお客さんからは「良かったよ」や「面白かった」などとありがたいお言葉をいただくことができたので大成功までは行かないですが、成功はしたのかなと思います。
成功させることができたのは、励起先生や加藤さん、青春館の方々や岩手の方々のおかげだと思います。 本当にありがとうございました!
今回、気づいた事や学んだことなどを生かして、詩碑建立に向けて、4人全員で頑張っていきたいと思います。 

【編集後記】
トークイベント当日は参加できなかったのですが、その前日、ぜひ企画展を観たいと思って私も盛岡に行ってきました。もりおか啄木・賢治青春館は、明治43年竣工の旧第九十国立銀行本店本館です。宮沢賢治が盛岡を歩いていた時に存在した建物で行われた企画展は、少しタイムスリップするような、そして暖かい雰囲気で、とても素敵な空間でした。

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