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新陽高校の単位制ってなんですか? 【週刊新陽 #56】

みなさんは高等学校における単位制をご存知ですか。

全国にある全日制高校4702校のうち単位制は655校=14%(定時制・通信制を含む5131校のうち1254校。文科省「令和2年度学校基本調査」より)。

なので、多くの方はきっと学年制の学校に通っていた/通っているのではないでしょうか。

新陽高校は今年度の新入生から単位制を導入。

今回の週刊新陽は、はじまったばかりの新陽の単位制のシステムを少しご紹介します!

単位制高校とは

学校教育法で定められている高校の卒業資格取得条件に「必須科目を含む74単位以上を取得すること」という項目があります。

この単位を取れば卒業が認められる高校が単位制です。各科目に単位が設定されていて、3年間の在籍と必要単位数を満たせば卒業できるという制度。

一方学年制では、1年ごとに必要な単位数が決まっています。1年間で必要な単位数が取れれば進級できますが、一つでも単位が足りないと留年となってしまいます。(単位制は、在籍期間内に必要な単位数を取得すれば良いので、取れなかった科目のみ再履修することになります。ただし学年が上がっても、学校が定める卒業要件がクリアできなければ当然卒業はできません。)

単位制高等学校は、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高等学校です。

昭和63年度から定時制・通信制課程において導入され、平成5年度からは全日制課程においても設置が可能となっています。

単位制高校の特色としては、
・自分の学習計画に基づいて、自分の興味、関心等に応じた科目を選択し学習できること。
・学年の区分がなく、自分のペースで学習に取り組むことができること。

などが挙げられます。

文科省HP「単位制高等学校について」
(太字は筆者による)

新陽単位制のコンセプト

興味関心も、得意な学び方も、一人ひとり違うはず。そこで、

生徒の数だけ学びがある

これが新陽の単位制のコンセプトです。

多様な個性を持つ生徒一人ひとりが自分に合った学びを選べるように、時間割選択ができるようになっています。

2年次、3年次と徐々に自由度が上がる設計になっていて、そのため1年次では「自分は何に興味があるのか」「どんな学び方が向いているのか」など自分を知ることと、選んで決めることに慣れるための活動が設定されています。

大学や海外の高校のように、自分で時間割を決め卒業までに必要な単位を取り切る、と言うとイメージしやすいでしょうか。

2年、3年と選択科目が増えていきます。


2年次以降の選択科目の中に、デザイン思考やアントレプレナーシップ(起業家精神)学習、eスポーツ、プログラミング、アウトドアなど、社会で役立つ実践的な学びが多いのも特徴の一つです。

また、これら学校設定科目の授業や課外活動において、積極的に大学や専門学校、企業と連携しているのも新陽ならでは。仕事や職場を経験できるインターンシップでは、一般企業のほか、系列の札幌第一幼稚園やめぐみナーサリースクールなど幼児教育・保育施設、あるいは高校では珍しいと思うのですがテレビ局やラジオ放送局などにも受け入れていただいています。

人生100年時代、マルチステージを生きる私たちに必要なのは『自分らしく生きるために自ら学ぶ力』です。だから新陽では、生徒が自分らしさに気付いたり自分らしさを突き詰めたりすることができる『出会いと原体験』と、『学び方を学ぶ』ことに重点を置いています。

メンター?ハウス?コンパス?

自分らしく、といっても入学していきなり自分で動ける生徒ばかりではありません。また、自分がどうしたいかまだ分からない生徒も少なくありません。

そこで、生徒を支援し主体性や自律性が高まるよう促すのがメンター。面談や学校生活の相談、進路指導を行い、家庭との連絡窓口も担う、一番身近なサポーターです。

今年度はメンター長を含む13人のメンターが、230名の生徒たちをサポート。「なにか困ったらまずメンターへ。」が合言葉です。

メンター長・植田先生作のメンターのアバター

なぜ「担任の先生」ではなく「メンター」なのか・・・それは、「クラス」という概念が新陽の単位制には無いからです。

では、授業やホームルーム、様々な行事をどんなまとまりで行うかというと、生徒たちは、まず「ハウス」という集団に属します。ハリーポッターを知っている方は、ホグワーツ魔法魔術学校の寮をイメージしていただくとお分かりいただけるでしょうか。

今年度は単位制の生徒は1学年分しかいないのでハウスは2つ。
ブルーとグリーンです。

各ハウスには6人のメンターがいて、それぞれ20名程度の生徒を受け持つのですが、実際には6名のメンターが協力しながら担当ハウスの生徒全体をサポートしていくチーム制を取っています。

そして、6名が受け持つ115名の生徒が8グループに分かれて、総合的な探究の時間や体育などの授業、ホームルームなどに参加します。


一方、国語・数学・理科・社会・英語の授業は、入学時に生徒が自分で選んだ「コンパス(方位磁針/羅針盤)」別になっています。

コンパスとは「学び方」のこと。自分の得意な学び方、付けたい力、目指したい進路などに合わせて、どのように学ぶか、大きく3つに分かれています。

☆アカデミア(アドバンス・ジェネリック):大学等で求められる高度で専門性の高い学習に必要な力を身につけることを目標とする学び方

クエスト:探究的な活動を通して新しい価値を創造する力を身に付けることを目標とする学び方

パイオニア:基礎学力の定着を目指すとともに、自分の得意分野を見つけることを目標とする学び方

そして2年次以降は、科目ごとに自分が学びたい授業を選んでいけるようになります。つまり、自分にとって最適な学びとしての「コンパス」はもっと細分化され、最終的には一人ひとり違うコンパスになっていくのです。

新陽での3年間、それぞれが自分の「学びの旅」の主人公として、コンパスを手に進むべき道を切り拓いていく、そんなイメージです。

単位制の特徴を活かして目指すもの

やりたいことや目指している道は、本来、一人ひとり違うもの。それなのに、みんな同じ時間割で、同じように学ぶのはなぜでしょうか。

人物多様性』をビジョンに掲げる新陽では、生徒は興味関心や進路希望に合わせて授業を選択し、自分だけの時間割で学びを深めることができます。

どの生徒も自分らしく学び、自分らしく生きるための力を身につけていく。これが「生徒の数だけ学びがある」というコンセプトのもと、新陽が単位制で目指していることです。


【編集後記】
4月27日、複業マッチングプラットフォーム『複業クラウド』の内定式が行われました。学校紹介パンフレットのデザイナー、広報/SNSアドバイザー、在校生向けキャリア講演会スピーカーの3業種をプロボノ(※)で募集したところたくさんの応募があり、まずは9名の採用が決定。複業クラウドの運営母体である株式会社Another works様とは、学校としては初の連携協定を3月に締結させていただきました。今後も「複業x教育」のカルチャーを一緒に作っていきたいと思っています。
※プロボノとは、ラテン語で「公共善のために」を意味する pro bono publico の略で、専門知識やスキルを活かして行うボランティア活動のこと。

https://anotherworks.co.jp/press_220324/

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