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微力だけど無力じゃない〜新陽「寄付の教室」2024〜 【週刊新陽 #190】

12月8日(日)、一般社団法人ハッシャダイソーシャルの出版記念ツアーイベントがEZOHUB SAPPOROで開催されました。新陽高校も地域パートナーとして参加させていただきました。

そして12月16日、なんとハッシャダイソーシャルが実施している「ハッシャダイスクール」が、第14回経済産業省「キャリア教育アワード」のコーディネートの部において経済産業大臣賞(最優秀賞)を受賞したとのニュースが届きました。おめでとうございます!


12月は寄付月間

ハッシャダイソーシャルのように社会課題に取り組む非営利組織は、企業からの協賛や個人からの寄付によって支えられていることが多いです。

そしてその寄付を啓発するために、NPO・大学・企業・自治体などが協働して毎年12月に実施しているキャンペーンがあります。

新陽高校も寄付月間の賛同パートナーとして賛同企画を実施しています。

その企画の一つとして、日本ファンドレイジング協会の『寄付の教室』を参考に新陽の生徒向けにアレンジして作った授業・校長 presents『寄付の教室』を、毎年12月、英語科の小熊先生の授業の一コマで実施させてもらっています。

応援したい団体はどこ?

今年は、1年次パイオニアのクラスで12月19日(木)に授業を行いました。

「寄付ってなに?」「寄付した経験はありますか?」「寄付でできることは?」など説明した後、生徒たちに「1000円あったら、どの団体を応援したい?」と考えてもらいます。

毎年、生徒一人あたり1000円として、人数分の金額を私が寄付することにしています。この日は28名の生徒が出席していたので、寄付金額は28000円になりました。

ただし、寄付できるのは1団体だけ。プレゼンターである私が選んだ3つの団体から寄付先を一つに絞るために、生徒たちに考えてもらう、というプログラムです。

今回の候補先は以下の3つ。今年は「人への支援」を行なっている団体を選ばせていただきました。

認定NPO法人キッズドア
https://kidsdoor.net/

認定NPO法人DxP(ディーピー)
https://www.dreampossibility.com/

NPO法人ACCEPT INTERNATIONAL
https://accept-int.org/

まず生徒一人ひとりが「自分が推したい団体」を選びます。

どんな活動をしている団体か、その活動によって何の課題が解決されているか、などを調べていきます。個々に検索するだけでなく、「分担しよう!」とか「この団体の情報、どこにある?」とすぐに会話が始まるあたりは協同的な学びのベースができている新陽生ならではだなぁと思いました。

次に、同じ団体を選んだ生徒3〜4人でグループを作り「その団体に寄付すべき理由」をまとめます。限られた時間ではありましたが、スライドを作成したり話し合ったり、グループそれぞれに準備してプレゼンに臨みました。

全8グループのプレゼンを受けて、2024年の寄付先は「キッズドア」に決定しました。

最終的にどの団体に寄付するか選ぶ時、推薦する生徒の人数(多数決)では決めず、推薦理由にどれだけ説得されたかで決めるようにしています。

今回キッズドアを推薦したグループのうち
・自分たちがキッズドアの活動に共感したことを3つ明確に挙げていた
・28000円でできることを調べて、具体的に示していた
・「子育てで困っている家庭があるのは分かる」という生徒たちの「子供・家庭・社会をまるっと支援できるから」という推しポイントに説得力があった
という3つのプレゼンが特に響きました。

なお、DxPを推薦したグループの「支援しなければその10代人たちが悪い道に行ってしまうかもしれない、支援すれば社会貢献する側になるから」寄付した方がいいという理由や、アクセプトインターナショナルについて、被害の大きさや生死に関わる「今」の問題であるなど他の2団体との違いを示したプレゼンにも説得力があり、今年もすごく悩みました。

最後に、「寄付の教室を通して伝えたかったこと3つ」を話して、授業を終えました。

・こういった社会課題があること、それを解決しようと活動している人たちがいることを知って欲しかった。
・課題を解決する側になることもできるし(1年生は現在「総探」でソーシャルアントレプレナーシッププログラムに挑戦中)、課題を解決してる人たちをサポートすることもできる。社会への貢献の方法は一つではない。
・わたしたちは微力だけど、無力じゃない。

欲しい未来へ、寄付を贈ろう。

翌日、特別授業『寄付の教室』を振り返ってもらいました。以下、生徒たちのコメントの抜粋・要約です。

寄付や社会問題への理解

  • 寄付先の団体を調べることで、それぞれが取り組む社会問題を知り、世界には多様な課題があることを実感した

  • 寄付の効果や具体的な金額の活用方法について知ることができた

  • 困難を抱える人々への関心や支援意識が高まった

  • 寄付が単なる金銭支援に留まらず、共感や思いやりを形にする行動であることに気付いた

  • 自分の環境は当たり前ではなく恵まれていると感じた

寄付先を選ぶプロセスでの学び

  • 団体ごとの活動内容や特色を比較し、どこに寄付すべきかを真剣に考える経験が新鮮だった

  • 複数の団体に少額ずつ寄付するのと、1つの団体に集中して寄付するメリット・デメリットを考えるきっかけになった

  • 他者の意見を聞き、自分では気付かなかった視点や価値観に気付いた

プレゼン力や思考力アップ

  • 人を説得するためのプレゼン技術を磨くきっかけとなった

  • 「人の心を動かす」ための表現力や説得力について考える機会になった

  • 他の生徒のプレゼンを見て、発表方法やスライド作成について学び、次回このような機会があったら自分もやってみたい

アクションへのつながりや視点の広がり

  • 今回の授業をきっかけに、日常生活の中で募金箱に寄付する、寄付可能な団体を調べるなど、小さな行動から始めたい

  • 親と寄付について相談したり、クラウドファンディングや募金活動について調べたりしてみようと思う

  • 寄付が必要な社会の背景に対し、国家や行政の責任に関心を持った

  • 今は寄付する余裕はないが、余裕ができたら支援したい

生徒たちは、寄付について学ぶことを通して、社会問題への関心や思考力やプレゼン力も高めてくれたようです。小熊先生からも「いつも発表しないような生徒たちが発表していました!」と感想をいただきました。

【編集後記】
「人は、微力だけど無力ではない」という言葉を初めて聞いたのは、認定NPO法人テラ・ルネッサンスの創設者・鬼丸昌也さんからでした。
そして最近、ノーベル平和賞を日本被団協が受賞したことをきっかけに注目されている高校生平和大使のスローガンも「微力だけど無力じゃない」。
一人ひとりの力は小さくても、自分たちが望む未来のために「寄付」というアクションを起こせること、それが集まれば大きな力にもなり得ることを、生徒たちが感じてくれていたら嬉しいです。

#寄付月間 #寄付月間2024

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