新陽の「当たり前」〜暑さ対策と学校のSHIFT 【週刊新陽 #123】
記録的な猛暑となっている今年。8月23日は札幌で観測史上最高気温(36.3℃)が記録されました。
札幌に住んで3年目。まさか東京より気温が高い夏を過ごすとは思ってもみませんでした。札幌の住まいを探すとき、クーラーがついている部屋を条件に入れるよう勧めてくれた同僚に感謝しかありません。(北海道には、エアコンがついていなかったりエアコン用の壁の穴が空いていなかったりする家がまだまだ多いのです。)
今週号は、暑さ対策の記録です。
暑いならオンライン授業
先週8月17日(木)に夏休みが明けた新陽高校。お盆を過ぎると涼しくなるのが北海道の常だったはずなのに、最高気温30℃を超える真夏日!
新陽の普通教室には冷房設備がなく、また築50年ほどの校舎は断熱性が低いため外の気温が高いと室内の気温も上がってしまいます。
翌日18日(金)も気温と湿度が高くなる予報が出ていたので、生徒と教職員の健康に配慮して「授業を10分短縮で実施する」ことに決めました(17日は全校集会がありもともと10分短縮授業の日課)。
翌週も30℃を超える日が続くとの予報を受け金曜日に「8月21日(月)〜24日(木)の授業時間を10分短縮とする」としましたが、週明け、予想気温と湿度が上がったため教室での授業実施は困難と判断し、「22日(火)と23日(水)はオンライン授業に切り替える」ことにしました。
その後さらに予報が変わり、最高気温は34℃〜35℃で最低気温も高めなことから、23日(水)の朝の時点で「金曜日までオンライン授業を延長」と決め、生徒と保護者にお知らせしました。
以下は、保護者宛メッセージの抜粋です。
なお、先生たちは校内の少しでも涼しい場所を探してオンライン授業を配信したり、テレワークしたりしながら、この暑さを乗り切ろうとしてます。
「その手」を想定しておく
北海道出身の先生たち曰く、「気温が高くなることはあっても、湿度がこんなに高いことはなかった。」「日中の気温は高くても朝晩は涼しくなるのが北海道だった。」とのこと。
そんな異例の暑さへの対策としてオンライン授業にしたことを公表すると、「その手があったか!」という声をたくさんいただきました。
さらにNHKから取材を受け学校の様子が全国ネットで放映されると多くの反響がありましたが、その反応に驚いたのはむしろこちらの方。ここまでの暑さになることは予想外でしたが、想定外ではなかったからです。
実は一昨年の7月、夏休み前に30℃を超える日があり、校内の気温が高くなったことがありました。その時は急遽午前授業やオンライン授業で対応。この経験を踏まえ、昨年2022年度からは、夏が本格化する前に「夏期気温上昇における授業対応の方針」を教職員間で共有しています。
小中学生では急に学校がオンラインになっても保護者が仕事の都合などで対応できるとは限りませんし、高校だとしてもオンライン授業に慣れていない先生や生徒が多い学校ではこの判断は難しいと思います。
でも新陽はコロナ禍、オンラインを活用することで「学びを止めない」経験があります。だから今回のオンライン授業という選択は自然な流れでした。
なおこの経験を活かし続けるため、今年度もオンライン授業とする期間を計画的に設けて、いざという時にも生徒と教員が対応できるようにしています。
ただ、猛暑はもう予想外と言ってはいられません。
地球の気候変動は学校内の環境にも確実に影響を及ぼしていて、もはや快適かどうかという話ではなく、生徒の健康上安全に学べる環境であるために、教室へのクーラーの設置は必須だと思っています。
社会の変化と学校教育のSHIFT
新陽で自然にやっていることが実は「当たり前」ではないかもしれない、と気付く機会が最近もありました。
8月19日(土)〜20日(日)に行われた『未来の先生フォーラム2023』に参加した時です。
全体テーマは「SHIFT-学校教育のSHIFTを構想する-」。環境や社会がこれだけ変化し、誰もが行動や思考の変容を求められる時代に学校教育もシフト(変化)することを目的に掲げたフォーラムです。
今回、主催者の宮田純也さんに呼んでいただき、特別プログラム『変わる組織と学ぶ組織-これからの学校組織・学校経営に必要はことは何か-』に湘南学園・学園長の住田昌治先生と一緒に登壇させていただきました。
フォーラムでお会いした方々に、新陽には毎月『中つ火を囲む会』という対話の場があることやその雰囲気、担当教科が異なる先生たちが自発的に集まって勉強会をしていることなどを紹介すると、「どうしてそれができるの?」と聞かれることしばしば。
そんなに大したことをやっているつもりはないですし、うまくいっていることばかりでもありません。それでも他の学校や組織とどこが違うのか考えてみると、新陽のメンバーは、できない理由を考えるよりも、どうしたらできるかを考えて「とりあえずできることをやってみる」のが当たり前ということかもしれないな、と思いました。