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多様性の尊重とキャズム超え

多様性が尊重される社会、生きやすい社会を作るのに必要なことはなんでしょうか?

それは「キャズム越え」

キャズムという言葉、マーケティングに関わっている人には耳慣れていても、一般にはそれほど知られていないのではないでしょうか。

キャズム(chasm)とは超えるのが難しい深い溝という意味(注)。

多様性尊重のどんな深い溝でしょうか。

それは「多様性の尊重って凄く大切だよね!」って気づき、その価値観を早くから取り入れている少数のイノベーターやインフルエンサーと、それをみて、私もしてみようかなと、後から賛同する多数のトレンドフォロワーという2つの種類の人々の間にある深い溝をさします。

新しいものが作られた時、それを人々が使い始める順番に5つのタイプに分かれます。その割合とそれぞれの特徴をスタンフォード大学のエベレット・ロジャーズが著書「イノベーションの普及」で話しています。

  1. 新しいものが好きな人 「イノベーター」--- 2.5% (40人に1人)

  2. それを早くから取り入れる人 「インフルエンサー」--- 13.5% (7.5人に1人)

  3. 少し後から取り入れる人「前期トレンドフォロワー」--- 34% (3人に1人) 

  4. 後から遅れて取り入れる人 「後期トレンドフォロワー」--- 34%(3人に1人)

  5. 取り入れないで済むなら取り入れない人 「伝統主義者」--- 16% (6人に1人)

例えば、いまや「普通に」誰もが持つスマホ。iPhone発売当初は少数のファンが持ち、その後しばらくたってから多くの人が買いだし、今やスマホ普及率94%。最近ではネットコンテンツの普及で、テレビをまったく見ない人がマジョリティになりつつあるのもこれに似ています。

ロジャーズは新しいテクノロジーの普及についての話でしたが、多様性尊重の動きもこの順番にあてはめられるのではないかと思うのです。

もしそうだとしたら多様性の尊重は普及の段階のどのへんにありそうでしょうか?あなたはどのタイプでしょうか?

イノベーターとインフルエンサーは合わせて16%。凄い熱量で、仲間内では信じているものの正しさを感じられますが、少数派です。

真ん中の34%+34%=68%が多数派。多数派が「普通」「あたりまえ」「常識」の基準を作ります。

少数派と多数派の間にあるキャズム。このキャズムを超えるか超えないかで多様性の尊重の将来は決まります

キャズムを超える秘訣はその真ん中の68%に響くかどうか。

多様性の尊重メッセージはマジョリティに響く内容になっているでしょうか。

多様性尊重のコンセプトは綺麗ごとだけでなく、とても複雑です。その複雑さを知ることは大切です。

それと同時に、まずはマジョリティが理解しやすい形で、今だけではなくサステナブルな変化が起こるための発信をしていけたらと思っています。


(注)キャズムの概念は30年程前にジェフリー・ムーアという人が著書「キャズム」で提唱したものです。


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