紅葉鳥
「紅葉鳥って知ってる?」
「ああ、秋になると赤くなる鳥ね」
「ちょっと違うな。赤くなるんじゃなくて、
秋の日差しを浴びたところだけ、赤く反射するんだ。」
「へぇ 本当に赤くなるわけではないのね」
「銀杏鳥というのもいるんだよ。こちらは黄色く反射する」
ほら見てみて と広げるアルバムにあった二羽の鳥は
私には見分けがつかない。
「どっちかがメスでどっちかがオスだったりするの?」
「そういう事でもないみたいだよ。
つがいになって子育てするのは春から夏だからね。」
と、理由になるのかどうかわからないことを言う。
「子育てが終わった後に、
銀杏にばかり止まりたがる鳥と
紅葉の方にばかり行ってしまう鳥がいてね。
それはどこか本能的なモノで、お互いに諦めがつくみたい。」
秋から冬の、肌寒くなる季節に、あえて別れようとする鳥もいるのか。
「もちろん、つがいの双方が紅葉鳥ということもあるみたい」
「それって偶然なのかな。運命なのかな」
「どうだろうか。
別れるようになるまでが運命なのかもしれないよ」