嘘と悪意
「傲慢と善良」の中には、「架(かける)」の女友達として
何人かの女性が描かれるが、ちょっとした嘘は当たり前で
あざとくてなんぼ という生き方をしてきた人たちらしい。
たぶん「私は正直で善良」なんて仮面も被っていない。
だから
主人公の真実(まみ)の初めて発揮したあざとさが許せなかったという。
彼女たちは真実の嘘を追及し、「善良ぶって」と攻撃し
真実の「正直に善良に生きて来た」という思い込みを壊す。
真実はむしろ、不正直だった自分と向き合えずに逃げたのだけど、
彼女たちに悪意がなかったとは絶対言えないのだった。
悪役令嬢物などでもよくあるいじめ。
男子なら、「君たちはどう生きるか」にもあるふくろだたき。
「果てしない物語」のバスチアンも、ずいぶんいじめられた。
ネットもそうだけど
私は今の時代のキーワードの一つは「悪意」だと思っている。
谷川俊太郎の「生きる」という詩の中にも
かくされた悪を注意深くこばむこと
という一行がある。
自分自身の中の「隠された悪・悪意」。
本当に、注意深くないと、拒めない。