塩谷直美さんのガラス。
こんにちは、のぶちかです!
さて6月18日22時より、いよいよ塩谷直美さんの作品をオンラインにて販売する事となりましたので、この度も事前にnoteを書いていきます☝
ちなみに塩谷さんには来年7月にJIBITAでの初個展もお受け頂けたので、のぶちかも今からとてもワクワクしております!
それではさっそく参りましょう!
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出会い
山口県山陽小野田市にはとても美味しい料理と、お店のセンスや器のセレクトがとても素敵なレストランがあります。
その名も「le cocon(※以降、『coconさん』)」さん♪
JIBITAも大変お世話になっているのですが、ある日、そのcoconさんのインスタを拝見すると、カッティングボードの形をした見た事の無いガラスの器に素敵な料理が盛られているの発見し、オーナーの器セレクトのセンスや遊び心、そしてそんな器を作られた作家さんの存在にのぶちかは猛烈に狂喜した訳であります。
その後、どうしてもその皿を見てみたくてランチを予約。
オープンキッチンで手際よく作られる美味しく素敵な料理を楽しみつつも、のぶちかの心の中は完全にあのガラスの器が占領していました(笑)。
そしてようやく御対面。
☝イトヨリのソテー 帆立とカリフラワーのソース 赤キャベツとマッシュポテトのフリット
キャワイイ・・・泣。
もんの凄くキャワイイ・・・泣泣泣。
☝タラのソテー カニとアボカドと橙のドレッシング
そして美しい・・・泣。
とっても美しい・・・泣。
☝カレイのムニエル 海老と山いものトマトソースと海老と野菜のテリーヌ
ほんでもって美味しそう・・・泣。
とっても美味しそう・・・泣。
ちなみにこの日のランチは嬉しくて泣ける気持ちを表現する為に可能な限りワインをおかわりしまっくた(←表現方法間違う…)のぶちかでしたが、いやそのぅ…、器を売っている者としてこんなに美しく個性的な器を使いこなすレストランオーナーが山口県内に存在するという事がとても嬉しくて、なんだかたくさん飲んじゃったと言う訳です。
ちなみに、
「器が嬉しくて飲む🍷」
っていう感覚は今に至っても尚、この時を超えるレベルでは経験はしておりませんが、あまりの衝撃にオーナーへ作家名をお聞きすると、その方こそが
だったという事です。
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制作フロー
オファー後、塩谷さんに制作に関する事を色々と伺いました。
中でも1番の関心事はその制作方法。
初めて作品を拝見した時、パート・ド・ヴェール(ガラスの粉末を型の中で熔融して成型するガラス工芸の技法の1つ)で作られているのかと思い、その事についてお尋ねすると、
「正確には違うのよね」
と。
そこで送られてきたのが1枚のFAX。
そこには
✴ガラスオブジェできるまで✴
と題した可愛い直筆の制作フローが描かれていました(分かりやすい!)。
☝イラストタッチが嬉しい(笑)。
更に制作フローに関する写真まで送って下さる細やかさ(これは嬉しかったでやんすね~♬)
☝①デッサンしてぇ
☝②粘土で原型作ってぇ
☝③型枠に原型入れてぇ
☝④石膏作って流してぇ
☝⑤型枠外して粘土抜き取ってぇ
☝⑥窯開けてぇ
☝⑦窯に石膏型詰めてぇ
☝⑧石膏型の中にガラスの塊をゴソゴソっと置いてぇ(イラストの⑤)
☝⑨Don't Open 焼き始めます
☝⑩Open! 塊のガラスが溶けて石膏型通りの形状が完成!
☝⑪石膏型を壊して中身を取り出してぇ
☝⑫ダイヤモンドの刃でガラスのバリ取ってぇ(ブイーン)
☝⑬サンドブラスト(高圧で砂を吹き付けて表面を削る作業)してぇ
※表面に石膏が残る為に必須工程。
☝⑭塩谷さんが好きなテクスチャになるまで紙やすりで更に磨く(ゴシゴシゴシゴシ)!
☝⑮完成(ふぅ~)! 作品名「steps」
のぶちかの見所「テクスチャ」
こう表現すると、まるでのぶちかに見所がある様な生意気な表現に見えたりしますが、あくまでのぶちかが塩谷さんの作品のどこを見所と感じているかについてのコーナーです(←タイトルが悪い)。
塩谷さんの作品でのぶちかがとても魅かれるポイントのひとつがテクスチャ。そのテクスチャを決定付ける大前提が原型の作り込みによって大方決まる為、
☝原型作り。
この時の原型をどう仕上げるかが非常に重要。
作品のテクスチャがまるで何百年も踏まれ続けて丸く滑らかに変化した石畳の様な雰囲気を持つのは、この原型作りが基礎になっているから。
☝東大寺の石畳。とても長い年月踏まれ過ぎて表面滑らか。
☝カクカク過ぎずギザギザ過ぎず丸過ぎず。
触れて気持ち良く、視覚的にも楽しめ、光の透過具合もうまく引き出す絶妙なテクスチャ加減が見所。
以上から、
塩谷さんの作品を観る時はなんとなくで見るより、細かく細かくそのテクスチャに迫って観てみると面白い発見がある筈なのでおススメです☝
以上、のぶちかの見所コーナーでした(笑)。
「誰の為でもなく、ただ湧き上がる想いを形にする」
以上が制作フローなのですが、パート・ド・ヴェールとの違いは素材のあり方。
粉末レベルのガラスを型の中で溶かして作るのがパートドヴェール。
➡粉末レベルなので仕上がりに小さな気泡が沢山発生=透明度を下げる。
そして、
塊レベルのガラスを型の中で溶かして作るのがコールドキャスト。
➡塊レベルなので仕上がりに気泡が少ない=透明度が上がる。
ちなみに「型」と聞くと「型物?」「量産品?」と思われる方もおられるかもしれませんが、制作フローを見てお分かりの通り、1点1点作った型を壊して中身を取り出す技法なので、量産どころか超生産性が低いのがこのコールドキャスト(パート・ド・ヴェールも)なのであります!
その生産性の低さをパート・ド・ヴェールの歴史に照らして見てみると、紀元前1世紀(古代ローマ時代!)には大きいものも簡単に量産できる吹きガラスの台頭と流行により、文献も残されないまま完全に消えてしまっているほど。
つまり2,000年以上前の人にでさえ、
「こんなん、やっとられるか!」
と愛想つかされた極めて手間の掛かる技法なのであります 泣。
そんな手間の掛かるコールドキャストを、塩谷さんはかれこれ34年も制作し続けられてこられたと言います。
しかし塩谷さんはこの手間の掛かるガラス(コールドキャスト)に対する印象について、
「好きというレベルではなく魅せられてるって感じ」
とお答えになられます。
そこでのぶちか、気付きました!
つまり、塩谷さんの様に強くガラスに魅せられた方の存在により、非効率だからこそ生まれる美に触れられる機会を私達が得られているという事です。
合理主義に根差すと得られない美。
それは2,000年以上前に起こった合理主義の下に失われた美であり、しかし時を超えてその美を諦めきれなかった者達により再興された尊き美。
いやはや、
まるで塩谷さんの作品は少し前までかなり合理主義に傾倒していた自分に対する戒めの様でもあります・・・。
「誰の為でもなく、ただ湧き上がる想いを形にする」
これは塩谷さんのお言葉ですが、非効率であろうが高コストであろうがモチベーションはいつも「ただ作りたいから」。
その思いがシンプルだからこそ、塩谷さんの作品は個性的で魅力的に映るのかもしれません。
合理主義礼賛の現代に於けるアンチテーゼ、塩谷直美さん。
ひねくれ者ののぶちかは、その生き様や作品にどうしても強く魅かれてしますのです。
☝「月の家」
マルセイユにて制作に悩んでいた夜、石の街に浮かぶ月を眺めいていると、同じく道端でアラブ人のおじさんがボンヤリ夜空を見上げていたそう。
街には海外からの労働者が多く、塩谷さん御自身も常に外国人である事を意識させられていた事から「あぁ、自分と同じだなぁ」と感じ、街をイメージした建物に三日月が乗っている作品を作ったのが、オブジェ制作を始めたきっかけだそう。
塩谷直美 略歴
1961年東京生まれ。
多摩美術大学・大学院修了後、都内で独立。
滋賀県に工房を移し、フランス(マルセイユ)の国際ガラス造形センター CIRVA にて働く機会を得た際にコールドキャスト技法に出会い、オブジェ作りに目覚める。
1996年に茨城県常陸太田市里見地区にて夫婦で「鵜沢ガラス工房」を立ち上げる。
◆オンラン販売のお知らせ◆
・販売日時 2021年7月28日 22時~8月3日 23時59分
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