引っこ抜くから俺についてこい『ピクミン3 デラックス』
一昔前に「引っこ抜かれて 戦って 食べられて〜」というCMソングで話題になった『ピクミン』シリーズがついにNintendoSwitchに!
私は『ピクミン1』『ピクミン2』をクリア経験ありで、『ピクミン3』は未経験。そのため、WiiU版との比較はできないので、素直に「デラックス」をプレイした感想となります。今回は、以下の条件でクリアしています。
・難易度は「ふつう」
・プレイは「ふたりでプレイ」
・1日のやり直しは基本的にはしない
・進級バッジにはこだわらない
・フルーツはできるだけ集める程度
初代『ピクミン』のCMセット
『ピクミン3』がデラックスになって帰ってきた!
『ピクミン3 デラックス』は、2020年10月30日にNintendoSwitchで発売したAIアクションゲーム。なんだ、AIアクションって。Wikipediaのジャンルに書いてあったが、なぞ。ストラテジーゲームというのが正しいのだろうか。シリーズとしては3DSの『Hey!ピクミン』から約3年ぶりとなり、ファンからは歓喜の声が上がっていた。
もともと、2013年7月13日にWiiUで発売していた『ピクミン3』をSwitch向けに調整し、WiiU版の有料追加コンテンツや新要素を含めた、まさにデラックスな一作となっている。
公式ページはこちら。
かわいらしい「ピクミン」をぶん投げて、食料を集めるのが目的
毎作違ったストーリーが展開されているが、今回は食糧危機がベースとなっている。ストーリーの概要は以下のとおりだ。
星暦20XX年。宇宙の果てでとある星が滅びようとしていた。
その惑星の名前はコッパイ。第五次ベビーブームによる爆発的な人口増加と無計画な気質が原因でコッパイ星の住民はほとんどの食料を食べ尽くしてしまい、深刻な食料危機に陥ってしまったのだ。
食料がある星を探すため、多くの偵察機を飛ばすも成果は得られなかった。
そんな中、最後の偵察機から有力な情報が送られてきた。
PNF-404と名付けられたその惑星を調査するため、3人の専門家が招集され、送り込まれる事になったーー。
物語の頭の部分をちょっと見せた程度です。単純に言えば、食料を探しに他の惑星を探検する、といったとこだろう。
「PNF-404」にはシリーズおなじみの「ピクミン」という生物が生息しており、「詳しい生態はよくわからないけど、なんだか使えそうだからヨシッ!」と言わんばかりに酷使しながら冒険をします。
かわいらしいデザインである反面、惑星にいる天敵には捕食されてしまうことも多々あり……。ピクミンが召されるたびに心が痛むゲームだ。
前作までやってる人は少しニヤリとできるポイントもあるかもしれない。
未知の惑星を探検だ
適材適所! ピクミンの使い所を熟考せよ!
ピクミンは全部で5種類。それぞれ得意なことと苦手なことがあり、使う場所は考えてあげないといけない。ピクミンは地上に100匹までしか出せず、それ以上は連れて歩けない。そのため、連れて歩くピクミンを偏らせすぎると攻略できないことも当然ある。実際に地形を見るか、地図を確認してピクミンの配分を考えなければならない。
通常、そこまで難しい仕掛けはないものの、突然の敵の出現や予期しないギミックの発動により混乱し、多くのピクミンを失うことも少なくはない。
ちなみに、難易度によって連れて歩けるピクミンの数は変わり、最高難易度の「ゲキカラ」では、同時に60匹までしか出せなくなるため、効率よく働かせないといけなくなる。
赤ピクミンは他人を殴るのが得意
美しい水の表現やステージの描き方に感動
タイトル画面からわかるように、水がキレイ! 飛び込みたくなるような誘惑があるが、特定のピクミン以外にはあまりにも酷な行為だ。いわゆるレトロゲーム時代からグラフィックの進化は目覚ましいですが、毎度のことながら水の表現には驚かされてしまう。
小さな世界
ステージは虫のようなサイズの視点の世界。缶詰やバケツ、紙袋などが散財し、現実世界との繋がりを感じさせる。これらはシリーズ共通で、過去作でも同様に描かれていたが、今回も素晴らしい。
みんなで押せーっ!
意外と忙しない1日
ピクミンは日が沈むと天敵である原生生物に襲われてしまう。そのため、朝から日没までの決められた時間のみで惑星の探索をしなければならない。難易度「ふつう」では1日が約20分で終わるが、プレイしていると短く感じる。基本的にやることが多く、3人のキャラクターを切り替えながら進まなければならない場面もあり、どこに何があったか、何が必要かなど、記憶力も試される。
2人でプレイすると、それぞれ独立した状態で操作できるため、効率が良く、難易度が非常に下がる。
画面分割で少し見づらいが、非常に効率が良い
ネーミングにユーモアがあって良い
私達にとっては見慣れた食料も、主人公たちから見れば未知の物。彼らのネーミングセンスには脱帽する。以下は明らかに「桃」だが、彼らは「シリソックリ」と名付けた。他にも面白いものはあるが、好きなのは「セイコウノモト」。明確に名前の由来が出ることはないが、「食料の成分や特性から、この名前になったんだろうな」と考えるのも1つの楽しみかもしれない。過去作でも様々な物のネーミングセンスに光るものがあったが、今作も変わらずに良いものが多い。
あらぁ^〜
ちょっと物足りない? 丁度いい? クリアまでのボリューム
『ピクミン3 デラックス』のクリア時間は2人でプレイして約6時間。ゲーム内の日付では14日目で攻略完了。すべての要素を集め終えるとしても10時間あれば余裕だと思う。クリアまで数十時間かかるゲームも多い中、この時間でクリアできてしまうのはややボリューム不足と感じるが、逆にこれぐらいの方が気持ち的に楽で良いかも?
1日の終わりに、ゲーム内時間で1日ずつプレイしたりするのにピッタリかもしれない。しかし、寝る前にやると「あと1日……あと1日……」とずるずる夜ふかししてしまう可能性があるのでご注意を。
クリア後のデータから続きはプレイできないので、集めきれなかった食料は前日に戻って回収しに行こう
ボリューム不足はやりこみ要素でカバー!
前作まではストーリーモードでの収集要素が多く、ステージ内にダンジョンも存在していたため、歯ごたえのあるゲームとなっていたが、本作ではそのあたりは薄くなっている。
代わりに存在するのが「進級バッジ」。PlayStationの「トロフィー」やXboxの「実績」のようなシステムで、条件を満たすことでバッジを獲得することができる。サイドストーリーやミッションモードのクリアはもちろん、最高難易度「ゲキカラ」のクリアで手に入るバッジも用意されている。全50個あるバッジを集めるには骨が折れるが、長く楽しむことができる。
気長に集めよう
ユーザーに寄り添う、親切な操作性
敵へのロックオンや連れているピクミン、仕事中のピクミン、フリーなピクミンの数を確認が可能、置いてけぼりになってしまったピクミンを拠点に呼び寄せるための笛をステージ全体に鳴らすことができるなど、優しい機能が多い。目玉は「ここまで移動」という機能だろう。マップを開き、行きたい場所にカーソルを合わせてボタンをポチッと押すだけで自動で移動してくれる。もちろん、2人以上で協力しないと行けない場所には行けませんが、向かう方向がよくわからなくなったときに便利。デメリットは少し移動速度が遅いのと、敵がいようと突き進む鋼の精神になってしまうことくらいだろうか。
「ピクミンが可愛いから触ってみよう」と、普段からあまりゲームをしないライト層の人には少し難しいゲームだが、上記の機能を使いこなすことで、ゲーム自体の難しさとは裏腹に、快適にプレイすることが可能だ。さすが任天堂と言わざるを得ない。
迷子になっても、これでOK
適度に頭を使い、ミクロな世界を走り回れるカジュアルな作品
正直、最初は「ボリューム不足では?」と感じたが、「いかに効率よく作業し、素早く食料を回収していくか」ということを突き詰める性質が強いため、コアなゲーマー向けではない本作では妥当なボリュームではないかと思う。同じジャンルの入門編的な立ち位置になる作品ではないでしょうか。
ラストは少し難しめだが、何回もチャレンジができるため、自分の動きを改善していくことで、いつかはクリアできるはず。諦めないで。
普段は1人でゲームをするのが好きな私ですが、こちらは2人でワイワイとプレイでき、最後まで楽しむことができました。
目立つような欠点は少なく、非常に安定した作りになっている。本作で描かれる世界は魅力的なので、興味があればぜひとも味わっていただきたい。終始溢れるピクミンの可愛さを感じながら遊べる名作です。
製品版にセーブデータを引き継げる体験版もストアにあるため、悩んでる方はまずはやってみることをおすすめします。
任天堂さん、Switch版『ピクミン1 + 2』や『ピクミン4』は……どうでしょう?
岩ピクミンかわヨ
それでは。
おわり