約2ヶ月の死闘ーー美しすぎるパズルゲーム『テトリス・エフェクト』の光と地獄
パズルゲームが得意ではない人間が挑んだ、シンプルながらも進化を遂げた、落ち物パズルゲームの最終系との死闘の結果を記すーー。
『テトリス・エフェクト』とは、「超スーパーすごいテトリス」
2018年11月9日にPlayStation4で発売された落ち物パズルゲーム。自分はプレイしたことがないが、PSVRにも対応をしている。約2年後の2020年11月10日にはXbox、2021年8月19日にはSteam、2021年10月8日にはNintendoSwitchと、今ではプレイ可能な環境が幅広く用意されている。
名前の通り、超有名落ち物パズルゲームでもある『テトリス』をベースとした作品。プロデューサーの水口 哲也氏は『Rez』や『Lumines』『メテオス』など、「音」とゲーム体験を組み合わせた作風が特徴的で、本作でも持ち味を十二分に発揮している。
2022年10月現在、PlayStation版はゲームカタログの対象となっているため、PSPlusのプレミアム、もしくはエクストラであれば購入せずともプレイ可能となる。なので、気軽に触ってもらえればと思う。
どんな状況でも不思議と噛み合う「音」
本作はテトリミノを動かしたとき、消したときなどのタイミングで効果音が流れるが、どんなときでもBGMとマッチした音楽を奏でてくれる。一定のラインを消すと背景やBGMに変化が発生し、最初から最後までテンションを上げながらプレイができるような仕組みになっている。これが気持ちよくて、ついつい繰り返しプレイしてしまう魔力がある。
時々見づらい現象が起きるステージ演出
演出面にかなり力が入っているが、ステージによってはプレイヤーへのオジャマ攻撃のようになってしまうケースもある。各ステージを連続してクリアしていく「ジャーニーモード」では、ステージが変わった際にテトリミノのデザインと背景がガラッと変わるので少し混乱してしまう。また、以下の動画の場合は後半に入る際に一気に明るくなるような演出が入るため、「うおっ! まぶし!」と目がやられることがある。オプションとかで軽減できそうな部分ではあるものの、初見では閃光弾を喰らったかのような感覚に陥る。
最高品質の多種多様な音楽たち
ゲームの音楽とは思えないような、様々な種類のBGMが存在する本作。カフェや美容室なんかで流していても何ら違和感も抱かないのではないだろうか。個人的に好きなステージである「ドルフィン・サーフ」のBGM『You and I』や最終盤で聴ける『So They Say』など、聴き応え抜群な曲ばかり。隠し要素の1つであるステージ「1989」のBGMは配信されているサントラには収録されていないようで残念だ。
作曲のHydelicはレゾネアのサウンドユニット。『Rez』をPSVR向けにリマスターした『Rez Infinite』の追加楽曲を提供していたらしい。
トロコンには、強力な「テトリス力」が求められる
普通にプレイする上では、ある程度のプレイスキルがあれば楽しめるが、トロフィーを意識すると生半可な気持ちではプレイができなくなる。各モードではスコアやクリア時間によって「ランク」が表示されるのだが、トロコンを狙う場合には全てのモードで最高ランクの「SS」を取らなければならない。このハードルがめちゃくちゃに高く、ちょっとできるくらいの腕前では歯が立たない。
いろんなプレイヤーの感想を見るに、やはり最難関となるのは40ラインをできるだけ早く消すルールの「スプリント」だろう。SSランクは「1分10秒未満でクリア」なのだが、これがめちゃくちゃに難しい。最初は1分30秒くらいだったのが、2ヶ月間頑張り続けて1分15秒までが限界だった。ほぼ毎日のように、寝る前に2時間くらい「スプリント」をやり続けたりしていた。様々な動画を参考にしたが、元来パズルゲームが得意でないことと「最適化」というテクニックがどうしても身につけられず、あと5秒を縮められる気がしなくて心が折れてしまった。上級者の人たちのプレイ動画を見てみたら、操作の速度と精度が違いすぎて、同じゲームをやっているとは思えないほどだった。
『テトリス』の最終進化系で、落ち物パズルゲームとしては現時点での最高傑作!
1984年に作り出された、落ち物パズルゲームの元祖である『テトリス』の基本的なルールは変えないまま、ここまで新しく、そして競技性を持たせるように面白く進化させるということに驚きと感動を覚えた。シンプルなルールで、1プレイがそこまで長くないことで何回も繰り返しプレイを続けてしまうリプレイ性も完璧。40年近い時が経っても『テトリス』というものの面白さは不動のものだった。
新要素としてはオンラインのマルチプレイがあり、対戦と協力プレイがある。どちらも少し時間がかかり、連続してプレイするには厳しい点が多いがなかなかに面白い。特に協力プレイは3人の盤面がくっついて、横長の大きな1つの盤面になる演出は本作でしか味わえない面白さだと思う。是非とも1度は体験してもらいたい。
プレイ時間は77時間程度。プラチナトロフィーの取得率は驚異の0.1%ということで狙いたかったが、私の腕前ではまだまだ手の届かないところにあるトロフィーであった。逆に「テトリス力」に自信のある方にとってはそこまで難易度は高くないと思うので、試しに狙ってみてもらいたい。
それでは。
おわり。