原作と比較して格段に遊びやすくなった、真の究極完全態『I Wanna Be The Guy Remastered』を年末年始にやれ
2020年末。あと1週間ほどとなった年の瀬にビッグニュースが飛び込んできた。『I Wanna Be The Guy』のリマスター版の配信開始。過去に8回はクリアした作品のリマスター。これは、8年ぶりにやらざるを得ない。
一部では有名? 『I Wanna Be The Guy』とは
『I Wanna Be The Guy』(以下、原作)は2008年1月30日にPCでリリースされたアクションゲーム。『アイワナ』という略称でもお馴染み。フリーゲームということで、多くの人がプレイし、苦しんだと思われる。本作の特徴は、なんと言っても初見では回避不可能な理不尽な仕掛けとゲーム全体に溢れるオマージュの嵐だろう。「ニコニコ動画」では「孔明の罠」と呼ばれることもある、初見殺しっぷりと「攻略不可能」と思わされるような精密操作が求められるステージ。ファミコンやスーパーファミコンのゲームをベースにしたステージやBGMには、感動を覚える程だ。
『アイワナ』には、ファンによって作られた「派生作品」と呼ばれるものが数多く存在している。『原作』に近いものや『アイワナ』をベースにしたオリジナルゲームとなっているようなものまで、同じ「派生作品」でもバラエティに富んでいる。私も多くの「派生作品」を楽しませてもらった1人だ。「派生作品」を作っていた中には、現在Steamで『Wings of Vi』というおもしろアクションゲームを作っている人もいた。
開発の動機は、製作者がFlashゲームの『人生オワタの大冒険』をプレイし、「自分ならもっと良いものが作れる」と思ったのがきっかけだそうだ。その思いは間違っておらず、本作は素晴らしい作品に仕上がっている。単純に難しくしただけではない、絶妙な難しさが特に光っている。
今回、配信が開始された『I Wanna Be The Guy Remastered』(以下、リマスター)は、原作を作り直し、更に遊びやすくした、まさに完全版とも言える作品。
ゲーム内で使われている様々な音源や画像については触れないでおく。
『原作』と『リマスター』の違い
様々な違いがありますが、ここではその一部を取り上げさせてもらう。『リマスター』の本体と一緒に、どこが変わったのかを明記しているテキストファイルが同梱されているので、変更点の詳細が知りたい方はそちらを参照してください。
・ゲームがクラッシュしなくなった
これは大きな変更点。変更点というより、修正点という感じだろうか。『原作』では、ありとあらゆるタイミングでゲームがクラッシュし、強制終了されるのが当たり前となっている。クラッシュについてユーザーから声が上がっていたものの、根本的な解決はされなかった。ついには、開発者がステージの仕掛けに使うほど、ゲームのクラッシュは当たり前のものとなっていた。
今回の『リマスター』では、全くクラッシュは発生しなくなった。本当にありがたい。ちなみに、オプションで「ランダムでクラッシュさせる」という『原作』をリスペクトしたオプションがあるが、ONにすることはおすすめしない。まじで。
・音源のリニューアル&死んでも冒頭に戻らなくなったBGM
『原作』では、音源の質がかなり低く、音割れしているものも少なくなかった。場面によっては耳障りとなってしまうレベルだったが、我慢するしかなかった。また、BGMは死ぬたびに冒頭から再生されるため、何度も曲の導入部を聴くことになる。普通にプレイしていて、1曲を1周して聴いたことがある人は少ないかもしれない。
『リマスター』ではそのあたりの音源が新しくなり、音割れしているようなものは一切ない。BGMは死んでも途中から流れ続けるため、何度も同じ部分を聴きまくることはなくなった。地味に嬉しいし、多分初めてフルで聴いた曲が多かった。
・タイトルバーにDeath数、プレイ時間が表示されるようになった
「派生作品」では多く使われていた表示の仕方。『原作』ではタイトルのセーブデータ選択時にしか確認できなかった数値が、プレイ中、常にタイトルバーに表示されるようになった。個人的には嬉しい改良点。
久々にやっても、やはり面白い鬼畜アクション
わーい、リンゴだー!
ヴォエッ!!
こんな感じでリンゴが落ちてきてすぐに死にます。初見で死なない人、100%いない。「リンゴは危険」と、開始直後にプレイヤーの胸に刻み込んでくれる。エンディングの最後の最後まで、これを覚えておいたほうがいい。
ただただ、そのまま作り直しただけではない『リマスター』
『リマスター』の登場を喜び、すぐにプレイしたが、明確に違いがわかるものが少なかった。そこで、改めて『原作』もプレイしてみた。何気なくプレイしたが、意外と改善・改良がされており、確実にかなりプレイしやすくなっている。
様々な場面での挙動が地味に変わっているが、『原作』と『リマスター』を続けてプレイしていないと、あまり気づかないかもしれない。以下は、特に違いを感じた箇所を挙げる。基本的にはジャンプ力の向上だ。
完全に人力なのでボタンのタイミングとかスクリーンショットのタイミングの違いはあるものの、『原作』では届かなかった場所に『リマスター』では届くことや、かなりシビアな距離をジャンプする場面でも猶予ができるようになっている。
ほんの僅かな違いだが、両方ともプレイしていると遊びやすさが格段に向上しているのがよくわかるはずだ。
ノーヒントでは攻略不可能? 難解過ぎる攻略ルート
『アイワナ』は面白いアクションゲームだし、攻略情報を見ずにプレイするゲームも面白い。だが、攻略する道筋に対するヒントがまったくないので、面白さにたどり着く前にやめてしまう人が多いでしょう。
ネタバレになってしまうが、RTA動画や実況動画などで進み方を予習しておくのも悪くないと思う。それにしても、RTA動画は簡単そうにプレイするので悔しくなるな……。
『アイワナ』に興味を持った人、やるなら今『リマスター』をやれ!
過去に挫折した人、今回の『リマスター』で知った人、確実にやれ。特に昔プレイした人はクラッシュしなくなったことにひどく感動すると思う。安心してリトライができるぞ。
予期しない仕掛けと使われてるBGMのセンスが良く、最後まで楽しめる素晴らしい作品。『リマスター』をリリースしてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
それでは。
おわり。