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第十話 自分も相手も開いていく 「ねじれ女子の婚活物語」〜38歳OL マリエさんの場合
「ちょっと厳しいことかもしれませんが、年齢が高くなってくるほど婚活は厳しくなってきますから、
マリエさんは覚悟を決めてうちにこられたんだと思いました。
是非、ご検討してみてくださいね。
婚活で非常に重要なのが年齢です。
なので、マリエさんは今が一番若いからこそ、行動されるのをお勧めしたいです。
あと、婚活に役立つ情報もいろいろありますから、ちょっと資料をお持ちしますね」
大西さんは、プロフィール写真の服装や、お見合い、交際に関してなど、その他いろんな資料を丁寧に話しながらマリエさんにみせてくれました。
(他の相談所もこんな丁寧な感じなのかしら?)
と思ったマリエさんは、大西さんに尋ねました。
「ハッピーウェディングクラブさんが他の相談所と違うところってありますか?」
大西さんはちょっと笑って
「結婚相談所もいろいろなタイプがあるので、違いというと難しいのですが、
例えば、『出会いの場』だけを提供する相談所は、お見合いの打ち合わせから成婚に至るまで、通常の出会いと同様にご自身だけで活動するところになります。
弊社は、お見合いの調整から成婚に至るまでをサポートします。
また、会員を一企業の中だけでご紹介しているシステムか、結婚相談所の連合体のシステムか、でも違います。弊社は結婚相談所の連合体のシステムでご紹介しています。
あと、弊社の場合は入籍していただくことを重視します。
これは他の相談所にはあまりない特徴かもしれないのですが、よくいう成婚退会は、イコール結婚ではなくて、そのあと入籍しなければ通常の交際と同じになってしまいます。なので、そうではなくて、入籍して、ご夫婦になることを目標にしています。
なので、サポートも本当に「やりすぎ」なほうだと思います。男性とのコミニュケーションが苦手だとか、恋愛経験があまりない方も会員さんにいらっしゃいましたが、無事に入籍されていきました。
ただ、早く入籍していかれた方は、覚悟を持って、ご自分でしっかり活動をしていた方になりますから、厳しい言い方かもしれませんが、相談所任せにしないで、自分で動いていく決意がなければどこの相談所に入っても厳しいかもしれません。
しかしながら、覚悟を決めた方には、私たち夫婦も覚悟をもって入籍までサポートを続けます。
そこはご心配なさらずに。
いろいろたくさん話してしまいましたが、
マリエさんにいちばんあった相談所で活動するのが一番だと思いますよ。」
優しさと厳しさ、両方をちゃんと教えてくれ、そしてすでにここに入りたいとマリエさんは
思いましたが、他との違いをしっかり見て納得してここに入会しよう、と思いました。
「いろいろと教えてもらってありがとうございました。婚活のことがとても良くわかりました。
他の相談所も、ちょっと行ってみて、またお伺いしても良いでしょうか?」
「はい、是非、いろいろ行ってみてください。その中で、私どもの相談所がマリエさんに合うと思われたら、その時は是非お越しください。あ、ちょっと待ってくださいね。お見せしたいものが」
と、大西さんは後ろにあった棚から一枚のプリントを取り出し、それをマリエさんの前にそっと置きました。
「これは、永田和宏先生が書かれた『知の体力』という本の中にあった文章です。
これが本当に素晴らしく私達夫婦が長年漫然と感じていた点を、明確に記述されていたので、マリエさんにもご紹介しておきますね。」
文章には、こう書かれていました。
〈一緒にいると相手のいい面に気づく、そのいい面に気づく自分がうれしく感じられる。
その人と話していると、どんどん自分が開いていく気がする。
お互いにそんな存在として相手を感じられるような関係こそが、たぶん伴侶と呼ぶにふさわしい存在なのに違いない。〉
マリエさんはこの文章を読んで、こんなふうに、自分も相手も開いていくように感じられるような関係が築くことができたら、どんなに幸せだろうかと思いました。
ハッピーウェディングクラブの帰り道。
マリエさんは小さな公園のそばに車を停めました。
セブンイレブンでかったアイスコーヒーを飲みながら、
(さて、どこの結婚相談所に行ってみようかな)
と、スマホのネット検索に指先で打ち込もうとしたとき、
「ちょっとリラックスしたら?」
と、ふいにりーくんの声が聞こえました。