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Yorenの目指す姿について
今回は、日本発の中国スタートアップとしてのYorenが、今後どこに向かおうとしているのかを書こうと思います。
前回の投稿で紹介しましたが、今のYorenは中国を主な市場として、「消費」と「デジタル・オンライン」におけるプロフェッショナルとして事業を運営しています。もちろんまだ足りないところは多々あるものの、創業から10年を超える経験を中国で積んできて、中国消費市場に進出したい、デジタル・オンライン領域での支援が欲しいとなったら、まずはYorenに頼ってもらえたら成果を出せる、という実績と自信はついてきたと思っています。
この実績は間違いなくYorenの強みなので、これを活かしてどこに向かうか。今僕たちが新たにチャレンジしたいなと思っていることは、今の事業基盤である中国市場と、それ以外の市場、どちらにもあります。
1. 中国国内
中国国内消費市場については、足元では元気の無さがとかく強調されていて、確かに最近の月次小売販売額成長率は前年比2%程度に減速しています。ただ、成長率が仮に今後もこの水準でしか伸びなかったとしても、母数がすでに950兆円(2023年、日本は160兆円)の規模に達している消費市場ですので、今後5年間で新たに生まれる市場がおよそ100兆円あるということになります。スタートアップであるYorenにとっては、十分すぎるくらいの大きなTAMがまだ目の前に転がっていると思っています。
(23年11月のマッキンゼーによる記事。似たようなことが書いてあります)
一方、中国国内の中で相対的に成長速度が高く、また政府が注力すると決めた領域を狙うのが大多数である国内の投資家や起業家にとってみると、少なくとも今は、消費領域はまったくもってホットな領域ではありません。そのおかげといってはなんですが、消費・リテールテックと呼ばれるローカル競合プレイヤーはスタートアップから上場企業まで、国内の資本市場からはほとんど注目してもらえない状況に陥っています。資金が流入してこないため淘汰や人材の流出も激しく、またこの分野での新たな起業も少ないので、中国国外で上場できる可能性のあるレアな存在と認知されて、Yorenに優秀なローカル人材が最近は本当に吸い寄せられるように集まってきています。
このような環境を踏まえて、国内においては今の既存事業を大きなTAMの中で粛々と伸ばすことはもちろん継続しつつ、これまでのブランドやリテールに対する「ベンダー」としての立ち位置だけでなく、それらの運営に自ら関与する「プロバイダー」としての顔も持つつもりです。
「売れる仕組み」は分かったので、それに加えて「売れるモノ」自体も自ら所有しよう、という考え方です。中国国内でD2Cブランドをゼロから立ち上げ、有数の新興ブランドに育てあげたCxOが揃ってYorenに来てくれたこともあり、Yorenで自社ブランドを創ることにもチャレンジしようと思っているほか、資本力も利用して販売総代理権を獲得したり、JVの設立やM&Aも視野にいれています。
2. 中国国外
Yorenのビジョン「文化と文化をつなぎ、人と人とがわかりあえる世界をつくる」を目指すうえでは、中国だけにとどまる理由は全くないと思っています。一方、中国でさんざん経験を積んできて、「海外展開」が一筋縄ではいかないことも僕たちは身に染みて理解しています。
Yorenが中国からさらに海外展開するなら、「中国で事業をやってきたことが強みになる」「中国が世界的に見て優位性がある」ところを選ぶべきだと思っていて、具体的には
中国大手プラットフォーマー(最近だとTiktok、Temu(Pingduoudo)、SHEINなど。将来的にはEVも含まれるかもしれない)の海外進出は今後も続くので、彼らの市場影響力やプレゼンスが高い地域
消費データの可視化(デジタル化)とそれに基づくアナリティクスが圧倒的に進んでいるのが中国なので、そのデジタル化が今後急速に進む段階にある地域
中国の製造サプライチェーン、ソフトウェアエンジニアのコストパフォーマンスは世界でもトップクラスなので、両者の供給に課題が大きい地域
これらの基準にすべてチェックがつく地域は、チャレンジではもちろんあるものの、少なくとも現地で戦える武器をYorenは持っていると思います。そのような地域で、中国から「売れる仕組み」と「売れるモノ」双方を海外展開するつもりです。
この二つを実現することで、消費領域での海外進出を中国だけでなくグローバルに支援できる存在になりたい。そしてYoren自身も売れる仕組みと売れるモノを、中国だけではなく世界に提供する存在になりたい、と思っています。
こんなことを将来の姿として真剣に考えているのがYorenです。少しでも関心を持っていただけた方、ご一緒できるのはと思っていただけた会社さま、ぜひお気軽にご連絡ください。FB、X、LinkedIn、どのDMでもウェルカムです!
X: @kitagawan
Facebook: Nobuaki Kitagawa
LinkedIn: @nobuakikitagawa
(この夏Yorenで初めて、日本の大学に在学中の日本人大学生が参加するインターンシップを実施しました。中国に高い関心を持つ学生に来てもらって、僕たちも良い刺激と新しい視点をもらいました。Yorenの公式Noteでも紹介しています)
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