#1 笠間日動美術館を訪ねる
久しぶりに茨城県笠間市にある笠間日動美術館を訪ねた。もう何度も訪れているが、今回は企画展「夭折の画家たち」 (22.10.1~22.12.18)が自分の好みにドンピシャだったので、開幕早々に茨城県笠間市に向かった。
笠間日動美術館とは
笠間市は茨城県の真ん中あたりに位置する中規模の市。有名なのは、窯業の笠間焼、笠間稲荷神社、あとは栗。
この笠間の出身者に日動画廊の創業者である長谷川仁がおり、この彼が郷里に開いたのが日動美術館である。画商というネットワークから国内外の名品が多い。故人ばかりでなく、現役の若い画家の絵もあるのが日動画廊の美術館ならでは。
笠間日動美術館へのアクセス
車を利用せずに笠間へ行く場合は鉄道になるが、東京から水戸や仙台まで走る常磐線では一本で行けない。友部駅で水戸線に乗り換えて笠間駅に行くか、友部駅から笠間市のコミュニティバスに乗る。
水戸線は1時間に1本あるが、笠間駅から美術館まで徒歩約30分。バスは料金100円かつ美術館前まで直接いけるがの本数が少ない。美術館に行く際は、友部駅に着く時間を押さえ、どちらにするか決断しましょう。なお、笠間駅にはタクシーがいる確率も高いので、笠間駅経由でもなんとかなる。また駅前のグリュイエールというケーキ屋さんはイートインできるので、帰路の際の時間調整も愉しみになる(人気の店なので土日は混むが)。
いざ美術館へ
この日は友部からバス利用を選択した。友部駅近くの地域交流センター内の喫茶ともあで時間調整する。ランチも充実しているので、昼食時間にかかる場合はここを利用するのが良い。
北口から乗る。正式には、かさま観光周遊バス。
途中、道の駅や茨城県陶芸美術館を通るので、一日使って周るのもよし。
企画展「夭折の画家たち」
日本近代絵画における夭折の画家たちには、何か魅かれるものがある。関根正二、村山槐多から青木繁、松本竣介れる。要は志半ばで逝った画家たちを取り上げているということなのだろう。 (そういう意味では、57歳で亡くなった鴨居玲もそうなのだろう。この美術館にある鴨居玲の部屋で、鴨井氏と長谷川夫妻との交流を知り、長谷川夫妻の無念さを強く感じる。)
今回の私の主目的は萬鉄五郎と松本竣介だ。私は岩手出身で、大学時代によく岩手県立博物館に行っていた。当時は今の岩手県立美術館がなく、博物館内の美術室に萬鉄五郎と松本竣介の絵があり、何度も見ていた。そのお気に入りの岩手県立美術館蔵の絵が6点も笠間にやってきたのだ。これは指名で来い、と言われているようなものだ。
岩手出身、萬鉄五郎と松本竣介
萬鉄五郎が3点、松本竣介が3点、岩手県美と福島県美から自慢の蔵品が来ていた。日動美術館所蔵と合わせると豪華である。
萬、松本とも遠来の3点並んで、同じ視界に入れる贅沢を味わう。
福島出身、関根正二
福島県立美術館からは関根正二が2点来ている。作品数が少ない画家なので、日動美術館所蔵を加え、全3点を見られるのは貴重な機会だ。
茨城県出身、中村彝
中村彝は茨城県水戸市出身なので、笠間日動美術館にも茨城近代美術館にも所蔵が多いが、今回は企業から2点出品されており、私は初めて見た。「少年像」はやはり中村彝が描いた相馬黒光の娘俊子の「少女」に似ている。
他にも青木繁、佐伯祐三など、見どころが多い。
常設展ほか
日動美術館は企画展会場の本館のほか、ルノアールやゴッホなどの西洋絵画を展示するフランス館と、画家のパレットを展示するパレット館がある。
本企画展を見て
他の美術館や企業さまから代表作を集めてきたところが素晴らしい。回顧展でもないと見られない。
最後にちょっと思ったことは、最近、夭折画家として認知されている石田徹也がいなかったのは残念。
美術館帰りに
せっかくなので、笠間稲荷神社にお参り。日本三大稲荷神社らしい。伏見稲荷、笠間稲荷、祐徳稲荷が挙げられるが、正直、伏見稲荷の他は多くの候補があって、諸説あり。
あまり知られていないが、笠間稲荷には美術館があり、ここには雪村周継の絵がある。
雪村は室町戦国期の画僧で、秋田移封前の佐竹領出身。茨城にあってもおかしくないのだが、初めて見た時は驚いた。
また菊まつりも有名なので、これからのシーズン、美術展と合わせるのも一考。
再び友部へ
また笠間稲荷前からバスに乗って戻ります。
おしまいに
茨城県は、日本美術院の五浦があったり、美術と関係深い。笠間日動美術館を見たらば、次は茨城県近代美術館や五浦を回って、意外な発見をしてみたらいかがだろう。
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