デザイナーは魔法使いじゃない。クオリティのカギを握るプロジェクトマネージャーの役割。
デザインの仕事をしていると、時にこう言われる事があります。
「なんかいい感じのサイトを作ってよ!」
そこで一言、
「いい感じってなに!!!!!!」
確かにデザイナーは視覚表現の知見、経験則があるので、デザインの知識がない人よりはいい感じのサイトを作れるかもしれません。
しかし、情景をわかりづらく説明すると、
冷蔵庫に何もないのに、よく知らない人に「僕(私)の好きそうな料理を何か作ってよ」って言われた状態。
と同じ感じかなと思っています。(わかりづらい)
これは個人的な解釈が入りますが、
クリエイターというのは想いや願いを汲み取って解釈し、実現するための方法を考える人
だと思っています。
なので、デザイナーはひとりぼっちになると、困ってしまいます。
自分の仕事に誇りを持ちたい人が多い傾向があるので、
「なんとかしたい、なんとか作り上げたい」と思いますが、
センシティブな生き物なので、すぐ弱気になってしまいます。
デザイナー、ひいてはエンジニアのパフォーマンス、クリエイティブのクオリティには実はプロジェクトマネージャーの力が大きく起因します。
デザインのクオリティはデザイナー次第と思われる事もしばしばですが、実は同じくらいプロジェクトマネージャーにかかっています。
僕が思うプロジェクトマネージャーの役割について書きたいと思います。
プロジェクトマネージャーという役割の誤解
「プロジェクトマネージャーとはどんな仕事か?」を検索すると、このように出てきます。
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの運営、品質、納期等に責任を持ち、プロジェクトを円滑に推進させる役割を果たすプロジェクト管理者
確かにこの通りですが、実際にこの言葉たちの後ろにどれだけの背景があるのかが伝わりづらく、誤解を生みやすいのかもしれません。
プロジェクトマネージャーは、主に進行管理(タスク管理やスケジュール管理、顧客との折衝。いわば納期の部分)を行う人のことだと思われがちです。
進行を円滑に進め、納期どおりにプロジェクトを遂行すること、はプロジェクトを進める上でもっとも重要な事の1つなのですが、プロジェクトマネージャーは他に2つの大きな責任を背負っています。
それは運営・品質の責任も全て負っている、ということ。
プロジェクトマネージャーは総合格闘技である、と言われるように、
デザイナー、エンジニアと密にコミュニケーションをとり、時にはクリエイターを導き、時にはクリエイターを勇気付け、時にはクリエイターに示唆を与え、プロジェクトにおいての意思決定を行わなければいけません。
プロジェクトマネージャーの言動がチームのパフォーマンスを左右し、チームが進むべき方向が決まると捉えると、その制作物のクオリティはプロジェクトマネージャー次第である、とも言えます。
プロジェクトを全くマネジメントできていなかった僕
僕はもともと、それこそ甘く見ていたプロジェクトマネジメントをしていました。
とにかくタスク管理を行うこと、進行管理に注力し、顧客にデザイナーが作成したデザインを通す。
デザイナーの意図を理解するのは少しだけ得意だったので、デザイナーの意図を言語化し、顧客にうまく説明することは得意、という状態でした。
「デザイナーさんが考えることはすごいのだから、素人が口出しするものではない。僕の仕事はデザイナーさんが考えたことを的確に伝えることだ!」とすら考えていました。
典型的な「プロにお任せ!」状態です。
それでも当時の僕は「デザインの素人が口を出してもクオリティが下がるだけだ!」となぜか自信ありげで、それがクリエイティブを守れることだとすら考えていました。
恥ずかしながら、一緒に作っていくことには寄与できていませんでした。
きっかけをくれたデザイナーさんの一言
当時の僕の甘い考えを変えてくれたのはデザイナーさんの一言でした。
計画通りに進むプロジェクト、しかし浮かない表情のデザイナーさん。
そんなミーティングの中で発された、たった一言。
「中村さん、旗が欲しいです。。。」
僕はプロジェクトチームが目指すべき場所も示さないまま、ただメンバーを走らせていたのでした。
ゴールがわからない、あと何キロかわからない、ペースアップかダウンかを指示するだけのマラソンコーチの状態。これはまさに地獄です。
クライアントともっとも接点を持っているのは自分であり、クライアントと議論を重ね、ビジネス、プロダクトのあるべき姿をチーム、時にはクライアントにも提示しなければいけない。
なすべき事を全く気づかず、できていなかった自分を猛省しました。
プロジェクトマネージャーが行うべきこと
地獄のコーチ期を経て、プロジェクトアシスタント化していた自分に気づいたのでした。
プロジェクトの当事者として、管理者としてやらなければいけない事は何か。完成物、クライアントのビジネスにもっとコミットしていくためには、自分は何をしなければいけないか。
定義されている
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの運営、品質、納期等に責任を持ち、プロジェクトを円滑に推進させる役割を果たすプロジェクト管理者
について今の解像度はこのようになっています。
・プロジェクトの運営=ルール、チーム、意思決定
・プロジェクトの品質=プロセス、成果物
・プロジェクトの納期=スケジュール
これらをもう少し言語化してみると、
プロジェクトの進め方を定め、チームおよびチームメンバーのパフォーマンスに責任を持ち、制作工程の障害を取り除き、促進する方法を考え実施しながら、意思決定を行い、当初の計画通りに進められるように全体を見渡し、最終的に完成した成果物のクオリティに対して全責任を背負う。
ということになると思います。
デザイナー、エンジニアに戦うべき戦場と戦略を明示し、そこで戦うことに集中させてあげられることがプロジェクトマネージャーの最大の役割です。
時には戦い方をも示唆し、戦うことを勇気付け、さらなる力を与える能力も求められます。
プロジェクトマネージャーの価値を高めていきたい。
チームの力で1+1を3、それ以上にする可能性を大いに秘めています。その可能性を引き出すためには、プロジェクトマネージャーの存在がカギを握っています。
くすぶっているプロダクトの火を灯し続ける、これまで以上の大きな炎にしていく。世の中に素晴らしいチームが生み出した素晴らしいプロダクトで溢れ、面白い社会になる。そんな期待を背負っているプロジェクトマネージャーは仕事として、創造性の高いとてもやりがいのある仕事です。
弊社セブンデックス では、事業戦略から製品開発、マーケティングまでをプロジェクトマネージャーが担っています。制作フェーズだけでなく、事業開発自体をプロジェクトとしたマネジメントはまさに総合格闘技。これまで以上にプロダクト、ビジネスにコミットし、社会のココロうごかしたい人を求めています。
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