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10月5日 ウシュグリ村到着

朝7時に寒さで目が覚める。スッポンポンで自前の寝袋に入り、その上から厚手の毛布を2枚かけて寝たのだが、寒くてしょうがない。スッポンポンだからか。起きて、服を着て、広くとられた外廊下に出てみる。本日も快晴なり。

日に当たると暖かい。綺麗な景色のせいなのか、澄んだ空気のせいなのか、いつも見ている朝日よりさらに鮮度が高い気がする。増築中の隣りの家の屋根に大工さんが2人登り、そんな朝日に浸りながらカンカンカンと小気味よい音を立てながら作業をしている。

朝食を食べ、10時出発。昨日のような壮大な景色はなく、秋の学校の裏山を歩いている感じが続く。16時30分、最終目的地のウシュグリ村到着。改まって大した感動はなかった。それはずっとこんな素晴らしい景色を見て、ずっとこんな綺麗な空気を吸い、ずっとこんな素晴らしい村に泊まってきたから。

早速、木造の比較的新しいゲストハウスに宿を取る。庭には芝生が敷かれバーカウンターとテーブルと椅子がいくつかあった。ご飯なし一泊25GEL。荷物をベッドに置いて、バーカウンターの隣にある冷蔵庫から黒いラベルにNATAKHTARIと書いてあるビールを取る。スポンと開けて、庭のテーブルで飲んでいる2人組の女の人に乾杯をしてもらい、混ぜてもらう。デンマーク人ととフランス人。3人でゲラゲラ笑い合い、暗くなるまで飲んだ。テーブルにビールが1本また1本と増えていき、8本並んだ頃にお開き。

晩ご飯を食べにキッチンに入る。この地方ではキッチンとダイニングとリビングが暖炉の周りに集まっている。私は真ん中のテーブルに座って晩ご飯を食べる。今日この宿に泊まっているのは私だけのよう。すぐ後ろのカウチには足の不自由なおじいさんが座り、その横におばあさんが座って毛糸の編み物をしている。息子さんも遅れて入ってきて、暖炉に一番近いところに座って寒そうな手を温めている。

置かれたテレビは、麦わら帽子をかぶったどこかの国の人が、山の土をほじくり、木を切りだし、水車を作っていく様子が流れている。それが終わるとこんどは髭を生やした白人に切り替わり、丸太を切ったり、転がしたり、てこの原理で持ち上げたり、ご飯を食べたり、犬と遊んだりしながら、少しずつ小屋を作っていく様子が流れた。どちらも音楽もナレーションもなく、出演者がしゃべるでもない。

4人してそのテレビを見るでもなく見ないでもないでいたら、それはなんか家族みたいな変な空気だった。

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