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10月11日 お金がなくて

昨日、現金がなくなり、ATMでキャッシングしようと思ったがクレジットカードがはじかれてしまった。今日もだめ。困った。カード決済ができるであろう首都のエレバンに向けてヒッチハイクすることにする。

1台目。ルパンが乗っているような暗めのウェディングドレス色の車。シンプルな内装に、ハンドルは船の舵取りのよう。助手席に乗る。おじさんは信号が青になると手振りもつけて「ちょくしーん」と言う。ヴァナゾルからデリジャン。距離50キロ。
2台目。古いラーダ。1988年に買ったといっていた。私と同じ歳。よくお禿げになった方だった。車の中なのに、頭がよく輝いていて見とれてしまった。民族音楽が好き。デリジャンからハガルチン教会の手前の町まで。距離15キロ。そこから歩いてハガルチン教会へ。森の中の教会。食堂に使われていた部屋に木目がはっきりした長机と椅子が置いてある。真ん中あたりに置かれた椅子だけ頭まで背もたれがある偉そうな椅子だった。
3台目。大きな白いバン。後ろには誰も乗っていない。運転手は寡黙な人で、うとうとしてしまった。セバン湖の近くの道路工事のところで降ろされる。デリジャンからセバンまで距離40キロ。おじさんは、道路工事の作業員たちに混ざり、仕事を始めた。
せっかくだらセバン湖にあるセバナバンク教会にいく。観光客多い。高台から見るセバン湖は、陸地が入り組んでいて、家々が建ち、海面は濃いところや薄いところがあり、船が走ると扇形の航跡が残る。見とれてしまった。
4台目。古いラーダ。もう時間は19時。運転手の60歳くらいのおじさんは、音楽をコロコロかえる。ハウスミュージックがかかると、「これだよ!これ!」とプレーヤーを人差し指で指し、ボリュームを上げて、それまで、ビョヨヨヨーンとなるバネのおもちゃのように、信じられないくらいブルブル震えていたギアレバーをトップに入れて、すごい勢いで走り出した。セバンから首都エレバン60キロ。8時過ぎ首都エレバン到着。

ようやくATMで現金も下ろせた。1日長かったと安堵し、安いドミトリーに宿泊。ベッドに荷物を置く。先に宿泊していたのは、カザフスタン人のアランとイラン人のトムと、どこかの国の人だった。3人ともどこかの国のビザの発給を待っているとのことだった。簡単に挨拶して1人で食事をとりに行く。都会のキラキラした騒がしさの中で、久しぶりのちゃんとしたご飯とビールを食べたり飲んだりしながら、携帯のメールをチェックする。チケットを買ったスウェーデンの会社から「あなたのフライトは航空会社の事情によりキャンセルされました」とメールが入っていた。

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