【超短編小説】細(その5)#140字小説
ねえちゃん!かあちゃんは、このまま帰ってこないの?弟が堪えきれなく私ににじり寄った夕暮れ。握りしめてやった弟の手から心細さが伝播し、二人で温め合った冬の宵。無慈悲に孤児の烙印を私達に押付け、目指す幸福の彼方へ消えた母。憎むことさえできなかった子達を思い出すこともあったのだろうか。
ねえちゃん!かあちゃんは、このまま帰ってこないの?弟が堪えきれなく私ににじり寄った夕暮れ。握りしめてやった弟の手から心細さが伝播し、二人で温め合った冬の宵。無慈悲に孤児の烙印を私達に押付け、目指す幸福の彼方へ消えた母。憎むことさえできなかった子達を思い出すこともあったのだろうか。