【やまのぼ エッセイ No.13】プロの仕事を見た!(849字)
私は老眼鏡を十数個持っている。いたるところに置いているからだ。新聞を読むためにリビングに、仕事部屋に、車の中に、寝室にひとつと言った具合だ。
自慢ではないが、それは、ほとんど百均でゲットしたモノだ。そんな中にあって、高級品とまでは言えないが、百均メガネが二百個近く買えるシロモノを一個だけ持っている。
そのメガネは、私となぜか縁がある。
何度となく失くしかけたが、回り回って私の手元に戻ってくるのだ。あるとき、コンビニの駐車場に落として、帰宅後気づき、すぐ戻ったら雨の降りしきる、車止めの前で見つけたこともあった。すんでのところで、轢かれ粉々になるところだった。
そんなメガネだから、愛着もあり長年使っているため、ツルの先端カバーの片側を破損させ、困っていたのだ。金属部が耳に直接当たり痛い思いをしていたのだ。
昔のことだから、購入先の販売店は、移転してしまっている。辛うじて、メーカー名が分かるのだが、その販売店を見つけることもできず、モンモンとしていた。
最近、取り扱っている販売店を見つけ、その修理をお願いしたのだが、対応に出てくれた女性店員さんは、「もう、古い型式で・・・」とかなんとかいって、取り合ってくれなかった。
その帰り道でのこと。
たまたま扱いのないメガネ屋さんに、ダメモトで飛び込んでみたのだが、やつぱり「ウチでは、ちょっと・・・」と断られてしまった。
ところがである。
その女性店員さんは、私のメガネを丁寧に、ふき取り新品のようにピカピカにして、返してくれたのだ。
私は、感激するしかなかった。これこそ、プロの仕事だと!
いつかラジオで聞いた、どなたかのコメントを思い出した。
それは、「誰でもできる簡単な仕事でも、誰よりも素晴らしい仕事ができる人」そういう人もいるんだということだった。
まさに、そんな人に巡り合えて、幸せな気分になった。今度、メガネを買うことがあれば、私は迷うことなく、プロのいる後者の店に行くだろう。
《本文とトップ画像(メガネ)は、まったく関係ありません》
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