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仕方がないんだ。

こんばんは。
お疲れ様です。
週の初めのお仕事、順調でした。

先々月の通院時のお話。
診察室に入り、椅子にすわり、
いつもの会話をした後、
「登君には悪いが、私は大学を辞めて、
 アメリカに渡り、勉強してくる。」

私は驚きはしませんでした。
「仕方ありませんよ。
 先生の人生なんですから。」

「皆そう言ってくれるんですよ。ありがとう。」

先生は私と同い年。
東北の会津の病院と、東京の大学病院を、
毎週新幹線で、行ったり来たりしていた。
平日は会津の病院、金曜日の午後に東京へ移動。
土曜日は大学病院に勤務。
午前中は外来、午後は入院患者の診察。
日曜日は千葉の実家での休日。
月曜日の朝に会津の病院に向け移動。
月曜日の午後から外来の診察。
この新幹線で行ったり来たりする生活を、
17年間も続けてこられました。
凄いことですよ!頭が上がりません!!
医師不足が深刻な地域医療に、
多大な貢献をされた御人だと思います。

そういう生活をしていたこともあってか、
先生は婚期を逃し、今だ独身であることに、
コンプレックスを抱いておられる方でした。
結婚している私に嫉妬している感もあり、
「独身だから。」「結婚していないから。」
を毎回の診察で口にされていました。
そういうこともあり、私と相性が合うと言える
間柄ではありませんでしたが、
医師としては悪い先生ではありませんでした。

「アメリカに渡り、勉強してくる。」
これは、精神医療の世界では、
逃げ道であり、建前でもあると、
以前、先生から聞いていました。
といっても、17年間も行ったり来たり、
毎週かかさず続けてこられたのは素晴らしい。
会津の患者さんも、先生と別れるのは惜しいが、
それ以上に、今までの先生の功績を称え、
仕方がない、先生のためと言えるのでしょう。
見習う必要があります。
爪を垢を煎じて飲まなくてはいけませんね。

別れ~ると~きは、辛いけど~🎵。
仕方がないんだ、君の~ため~。
なんとか~かんとかの、
ワルツを歌おう~♬。


私が中学生のころまでは、
プロ野球観戦が好きで、
大のジャイアンツファンでした。
中でも江川投手のファンでした。
オールスターゲームでの、
8連続三振は凄かった。
今でも忘れることなく覚えています。
私が中学2年生のとき、ジャイアンツが
優勝しました。日本一になれなかったのは
残念でしたが。
その年、江川投手は引退を表明しました。
理由は、肩の痛みが限界であるということ。
監督やチームメイト、マスコミや評論家、
そしてファンからも、
力は衰えたとはいえ、
10勝できる力はあるのだから、
貴重な戦力なんだから、
辞めないでくれ、
辞めるなんて、
踏ん張ってくれ、
という思い。
そして、
わがままだぞ、
という辛口の評もあったと思います。
まだ中学生だった私は、
「なんで辞めるんだよ。
 まだまだやれるじゃないか。」
と理解することが出来ませんでした。

江川投手は、引退後は解説者、タレント
として、働き口、活躍する場所がありました。
だから引退することも出来たわけでもあり、
それも江川投手の才能であります。
ですが、江川ファンにしても、
アンチ江川にしても、
解説者として活躍する姿ではなく、
現役選手として、高めの直球で三振をとる
姿を末永く見たかったのだと思います。

社会人として世で働き、大病も経験した
今の私にとっては、
そのときの江川投手の引退したい気持ちが、
すごく良く解るようになりました。

10勝できるんだから。
まだまだやれるのだから。

でも、
限界だ。
無理は出来ない。


「仕方がないんだ。」
と思ったファンやその他関係者は
少なかったのではないかと思います。
言い換えれば、江川投手に対する、
「期待」
が大きかったのだと思う。

私は、このnoteで、田舎に帰りたいとか、
早期退職したい等書くことがあります。
私に例えても、
「まだまだやれる」
もあれば、
「無理は出来ない」
もある。
しかし、
「限界ではない」
という認識は、間違いなくある。

5年後に早期退職するのか、
60歳で定年退職するのか、
雇用延長で70歳で退職するのかは、
解りませんが、いずれにしろ、
「仕方がないんだ。」
と言われて退職したい。
そう成れるためには、
もっと実績を積むことも大事だし、
今ではなく、もう少し踏ん張る必要がある。

継続は力なりだ。


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