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プロ野球ブレーカーズ2023〜ロッテ、広島編〜

 今シーズンブレークを果たし、チームの新たな柱となっている"ブレーカーズ"を紹介する「プロ野球ブレーカーズ2023」。
 第五回は、ロッテ、広島のブレーカーズを紹介していきます。

ロッテ:トレード加入で大暴れ!石川慎吾選手

 ロッテで今季ブレークしたのは、シーズン途中にトレードで加入し、大活躍を見せている石川慎吾選手です。
 石川慎選手は2011年のドラフトで日本ハムに3位指名を受けますが、ここではあまり良い結果が残せず、2016年オフに巨人へトレードで移籍。当時は大田泰示選手(現DeNA)、公文克彦選手(現西武)が日本ハムへ、吉川光夫氏、石川慎選手が巨人へ行く大型トレードとして話題になっていました。日本ハム退団時に石川慎選手は、

 「驚きましたが、プラスに考えています。北海道のファンのみなさんには感謝してもしきれない。先輩後輩と離れるのは寂しいけれど、こういう世界なので、活躍して再会できるのが恩返しだと思っています。新しいチームでも自分らしいプレーを見せたいです」

北海道日本ハムファイターズ 2016年11月2日配信の記事より一部抜粋。

 とコメントを残していました。

 巨人時代には、代打の切り札や対左投手の最終兵器として活躍。ロッテへ移籍した今季も対左キラーぶりは健在で、野球ゲームの実況パワフルプロ野球でもステータスの対左投手が、8段階中の7段階目である「A」として査定されています。
 キャリアハイの2017年には99試合に出場し、打率.242をマークしたものの、次第に出場機会は減少。丸佳浩選手や亀井義行氏、陽岱鋼選手など層の厚い巨人の外野陣では一軍になかなか食い込むことができませんでした。

 「巨人の時も『チャンスをもらえなかった』とか言ってくれる人はいます。でも結局は、僕に力がなくて出られなかっただけのこと。そこに対する悔しさはありますよ」

Full-Count 2023年8月13日配信の記事より一部抜粋。

 と振り返る石川慎選手。巨人時代にはキャッチャーにも挑戦するなど、扱ってもらえる幅を増やし出場機会の増加を目指しました。

 そんな中、今季も二軍で打率.358のハイアベレージを記録する中、シーズン途中にトレードが発表。ロッテ・小沼健太選手とチームを交換することが発表されました。
 前回はオフでの移籍だったものの、今季はシーズン途中。前日まで巨人のために奮闘していたのにも関わらず、突然ロッテのために戦ってほしいと言われ、なかなか心の整理がつかなかったそうです。

 それでも、心機一転ロッテのために頑張ろうと決意した途端、一軍で覚醒。初めは代打からの起用でしたが、徐々に吉井監督の信頼を掴むと、主に3番や6番、7番で起用されるようになり、ここまで打席数は50と少ないながらも打率.413をマークする大活躍を見せています。
 それでも、プロの世界はこの好成績を維持できるほど甘くないと実感している石川慎選手。

 「10月まで4割、5割打っていたら『どうしたん? 俺?』と思うでしょうけど、10年もやっていればそんなに甘くないことはわかります。どんな結果になっても、最後まで全力でやり切ることは約束できます」。

Full-Count 2023年8月13日配信の記事より一部抜粋。

 溌剌としたプレーと、パンチのある打撃から愛称が付けられた"ダイナマイトシンゴ"が、新天地でがむしゃらにスタメン定着を狙います。

石川慎選手のここまでの成績(7月終了時点)

 12試合 31打数 16安打 1本塁打 
 4打点 0盗塁 打率.516
 出塁率.545 長打率.710 OPS1.255

ロッテ・石川慎選手。

広島:暴れ馬は今やクローザーとして腕を振る!矢崎拓也選手

 広島のブレーカーズは、今季不調の栗林良吏選手に代わってクローザーの役を務め上げている、矢崎拓也選手です。
 矢崎選手は2016年ドラフトで広島に1位指名を受け、「加藤拓也」選手として入団しました。その後プロ初先発初登板のマウンドで9回途中までノーヒットノーランの快投を披露するなど、当初は先発での活躍が予想されていました。
 その後、2017年オフに結婚を発表すると、それに伴い登録名を変更。「矢崎拓也」として再出発します(23年オフには離婚していた模様です)。

 しかし、特に2ボールからの制球力の低下が課題として浮き彫りになると、一軍や二軍でもストライクを入れるのが難しい状況になってしまいます。

 「100%で(真っすぐを)待たれるので、120%のストレートを投げようとしていつもと違う投げ方になってしまう」

Sportivaweb 2021年2月23日 11:10配信の記事より一部抜粋。

 と語る矢崎選手。もともと変化球でカウントを整えてから重みのあるストレートで打ち取るというピッチングスタイルの矢崎選手ですが、変化球でストライクが取れなくなった時に頼るストレートを狙われ、痛い一発を浴びてしまうことが増えてしまいました。

 しかし、そんな矢崎選手にも転機が。2020年から広島に新設された、スコアラーやトレーナーが特定の選手を分析し、課題や修正点を見つけることを目的とする「2.5軍」で課題克服を目指してい矢崎選手は、2.5軍を担当する飯田哲矢スコアラーと話すことで考え方が変わったそう。
 飯田哲矢スコアラーは、

 「他愛もない話をするように、僕が感じたことを伝えただけです。あいつは注意されることで、自分自身を苦しめているように感じた。それなら注意されないようにやろうよと。考え方が変われば、見られ方も変わるんじゃないかって。単純に、持ち球のスライダーとフォークの精度を上げることで、2ボールからでも打者の頭は真っすぐ33.3%、スライダー33.3%、フォーク33.3%になる。それだけでも大きく違う」

Sportivaweb 2021年2月23日 11:10配信の記事より一部抜粋。

 と矢崎選手の考え方を変えてあげるサポートをすることで、フォームや握りなど外的なものを変えることなく、矢崎選手のコントロールを改善させました。

 これが功を奏し、昨季には47試合に中継ぎとして登板し、17ホールド1セーブ、防御率も1.82と抜群の安定感を見せました。
 そして、今季は不調の栗林良吏選手の代わりにクローザーの座に座ることに。当人はプレッシャーを感じているかと思いきや、

 「この展開で(マウンドに)上がったらどんな感情になるんだろうって、思ってたら、“へぇ、こんな感じなのか”というくらい。もっとうわぁっとなるのかなと思っていたら、普通でしたね」

NumberWeb 2023年5月22日 11:00配信の記事より一部抜粋。

 と至って冷静。この太々しさのような精神力も、矢崎選手がクローザーとして花開いた要因にあるのかもしれません。
 自分はその人にはなれないし、その人の代わりとなってくれと期待されているわけではない。自分がやるべきことをやればチームのためになると考え、今日も腕を振ります。あの頃の"ノーコンピッチャー"は、もういません。

矢崎選手のここまでの成績(7月終了時点)

 35試合 0先発 4勝 0敗 4H   20S
 33.1回 6失点(自責点6) 防御率1.62
 27奪三振 13与四死球 被安打25
 WHIP1.14

広島・矢崎選手。

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