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ニューブレイカー2024〜前川右京〜
今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第三回は、虎の未来を担うスラッガーです。
名前:前川右京(まえがわうきょう)
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こちらが前川右京選手です。前川選手は2003年5月18日生まれの21歳で、三重県津市出身の左投左打の外野手です。
奈良県の甲子園常連校・智辯学園高校で1年夏から4番に座ると、甲子園が度重なって中止となる中、3年夏の大会では6試合で打率.455のハイアベレージでチームの準優勝に貢献。そして2021年ドラフト4位で阪神から指名を受け入団します。
高卒2年目の昨季から33試合に出場するなどすでに頭角を表し始めていましたが、今季は主に右投手の先発試合にスタメンで出場し、9月7日時点で100試合に出場、314打席に立って282打数74安打の打率.262と殻を破っています。
強み:引っ張り方向への鋭い打球
前川選手はかなりプルヒッターとしての傾向が強く、レフト方向が打率.202、センター方向が打率.196であるのに対し、ライト方向は脅威の打率.447。引っ張った打球がフェアゾーンに飛べば半分ほどはヒットになっています。ただ、ライト方向への打数が最も少ないのも事実で、レフトセンターは共に100打数を超えているのですが、ライトは70打数ほど。自身のヒットゾーンがある故にもっと積極的に引っ張りにいきたいですね。
また今季記録されている3本のホームランも全てライト方向への打球になっており、腰の回転を使った遠心力がバットに伝わり、ボールを巻きつけるようなバッティングをしているようです。
課題:甘い球を確実に仕留める技術
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上の画像は前川選手の今季のゾーン別打率を投手側の視点から見た時のものですが、ど真ん中とインハイの打率が低いのが特に気になります。真ん中のボールは基本失投であることが多いのでしっかり打ち損じなく決めに行きたいところではありますし、プルヒッターであるのにインハイを捌ききれていないのは少し勿体無いような気がしてしまいます。
ここまで打率がくっきり分かれてしまうと投げる方も組み立てやすくなってしまうので、まずは真ん中とその周辺の打率を上げていきたいですね。
得意投手
よく対戦しているのは巨人・戸郷翔征選手ですが、戸郷選手との対戦打率は14打数4安打の打率.286。著しく高いというわけではありません。
一方で、巨人・山﨑伊織選手や中日・齋藤綱記選手、清水達也選手、橋本侑樹選手らからは打率5割を記録しており1軍の中でもある程度の地位を確立している投手からもヒットを放っています。
苦手投手
こちらは際立っている選手が1人。DeNA・ジャクソン選手です。ジャクソン選手とは今シーズン10打席対戦して、10打数0安打の打率.000。言い方は悪いですが、完全にカモにされています。ジャクソン選手は左打者にもインコースをかなり多く投げるスタイルなので、前川選手にとっては嫌な投手だと思います。
前川選手のプレー動画
バッティングを実際に見てみると、ダウンスイングでボールを擦って打つバッティングスタイルだということが見受けられます。その為低めの球に対する対応力が他の選手とは比べ物にならないほど高く、先ほど見たゾーン別の打率でもアウトローの打率が異様に高くなっていることと辻褄が合います。
打撃は高卒3年目とは思えないものを持っている前川選手ですが、守備に若干の難があります。つい先日のヤクルト戦でも夜の神宮で目測を誤るなどライナー系の打球の処理が難しいようで、自分の打撃のリズムを良くするためにも守備はしっかりと出来るようになってほしいですね。
また高校時代には投手としても評価されていた前川選手ですが、現在は肩の弱さからライトにコンバートされており(左投のため)肩の強さというのも今後鍛えていけるかが注目ですね。
一口情報:お兄ちゃん
前川選手には2歳年上の夏輝さんというお兄さんがいるのですが、そのお兄さんも野球選手で、夏輝さんが津田学園高校生だった時には兄弟揃って甲子園に出場したこともありました。
卒業後は社会人野球のJR西日本でもプレーしていた夏輝さんですが、現在はフリーランスのトレーナーとして野球選手のコンディション向上に力を入れているそうです。
まとめ
今回は前川選手について紹介しました。打撃に関してはすでに彩度の高いものを持っていますが、どうしても守備の話が付き纏ってしまうのが現状です。しかし、守備に関しては今からでも練習すれば絶対に上達できます。守備に落ち込まずに、まずは自分が持っている最高の打撃センスを活かしていってほしいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。