蘭 文海

感情の放出

蘭 文海

感情の放出

最近の記事

白い君と、黒い私

「大好きだと思う。でも、まだどこか確信じゃなくて。早く確信に変えたい。」 誤魔化しの嫌いな私が、彼のそういう率直な部分に惹かれてしまったのは言うまでもありません。 メンヘラが苦手なところ、MBTIが同じだということ、味噌汁椀にご飯を入れるところ...... 共通点を探せばいくらでも出てきそうな程、私たちは似ていました。 だからこそ、簡単に好きになれない、なってはいけない、そんな相手なのではないかと考えてしまいます。 言わば、鏡なのです。 自分自身のことを認めて愛する

    • 果たして、私のベタが本当に勝ったのか

      将来を見据えてお付き合いしていた男性と関わりを絶ったのは、つい先日のことです。 家事に追われ、体調を崩しながらも、時間を見つけては彼の眠るところへ忍び込み、できるだけ、ありったけの愛を注ぐ日々でした。 はて、いつからかその愛は、彼に届くことは無くなってしまったのでしょうか──彼の心は、うんともすんとも云わなくなってしまったのです。 時間をおけばおくほど、考えを巡らせれば巡らせるほど、彼の存在は遥か遠い宇宙の塵よりも、もしかするとそれよりも遠く小さく、今にも消えて失くなり

      • 水温

        私は何者でもない 「何者」にすらなれなかった 何でもない日だった あの日と同じ場所を流れたとき 私はあなたを思い出した 前に会ったときとは 何もかもが違う私 不思議とあなたは 私が「私」だとわかる それは奇跡でも偶然でもない 紛れもなく絶対的な愛だと 涙を流す私に気づくのは 私の温度を知っているひとだけ あなたが私を 私が私であることを 私が私でいてもいいことを 永遠に赦した 安堵の涙だった 私は何者でもない 私は「私」だ あなたの中に私が存在する限り 永遠に