受注生産の椅子を、あえて展示品を買った
こちらをください、と伝えたところ、受注生産のためお届けは年明けになるとの言葉に驚く。しかも10年保証。
今までほとんど既製品でしか買ったことがなかったから、これから母のためだけに1脚作ってくれるということに驚きを隠せない。7万円ほどの椅子になると受注生産となるのかと新たな世界の扉を開いたようだった。
でも、すぐに欲しいという母の要望に答え展示品の購入希望を伝え、専用の座布団も購入し少しお安くしてもらった。座布団も受注生産とのことで、こちらは色を決め来年届けてもらうことにした。座布団にしては高価な金額だったけれど、洋服の金額ほどのものを母のために作ってもらえるだなんてこういう世界もあるのだな。
しかも、足が悪い母のために車椅子を用意し(家用にカスタマイズされ椅子っぽいデザイン)押してまでくれて大変親切にされてしまい購入もわりと容易く決めてしまった。
長く座っていられる椅子を探していると伝え、案内されたのが飛騨産業のCRESCENTとSEOTO。
座ったすぐにどちらも良い感じだった。手に吸い付くような手触りと丸み手すりとても気持ちが良かった。CRESCENTとSEOTO交互に母に座ってもらったところ、CRESCENTのほうが座りやすいとのことだったからそちらにしたけど、私はSEOTOの好みだった。多分、HIROSHIMAに似ているからだと思う。
こういう形の椅子を見る度にマルニ木工のHIROSHIMAっぽいと思ってしまい、店員さんにっぽいですよね?なんて言いそうになってしまったけど口に出さなかった。
あまり知識がないものは自分が知っている数少ないものとの比較しかできず、○○っぽいと思うまでは良いけど、意匠はとてもむずかしく、歴史を知らずには語れないと思うから、安易に口にしたくない。
世界の定番を作ろうと掲げ作られたのがHIROSHIMAだから、もしかしたら今のスタンダードなのかもしれないけど、私にはそれぐらいしか知識がないから具体的に比較する必要もない。
でも、絶対に全く手が出せないと思っていたHIROSHIMAをあと3,4万出せば買えるとわかり、思っていたほど手の届かないものではないと一瞬思ったけど、母の毎日の居場所になるから買えた金額であって、自分のために買うことはまだできそうにない。
受注生産のものを何故展示品を買ったのか。もうだいぶ前から母の椅子のクッションが凹みすぎていて、お尻が痛いとずっと言っていた。その度に買い換えようと話は出るものの、やっぱりいらないもったいないの一点張り。ただもう我慢ができなくなったようで、給料日後に椅子を見に行こうと話ししていたのにすぐに行きたいと言いだした。極端すぎる。
購入を決めた後、受注生産で来年になると聞いた瞬間に、今すぐ欲しいと即決するもんだから相当痛いんだなと分かり、店員さんにこれ買えますか?になった。正直に言えばいつかは私が使う椅子になるから「私たちのために作られたたった1脚の椅子」を味わいたかったけどそんなのは私のただのわがままだった。
家に帰る途中からすぐにメーカー名で調べて家に帰ってきてからずっと調べていた。色々読む度に手触り気持ち良さを思い出し、たまらなくかわいい曲線を眺めている。来週の中頃に届くそうで楽しみで仕方ない。たまに母に借りて座りたい。
椅子に関して調べたことをあーだこーだと母に伝えたら、よかったねぇと全く興味なさそうだった。母より私のほうがワクワクしている。
楽しみで仕方ない。早くこないかぁ。