見出し画像

水彩で綴る 「川岸」


「川岸」  by a.s.k


「川岸」
 
流れを挟んだ向こう岸に、ビルや家々が並び、
一直線に車が走る。信号機の点滅。
程よい風に草がなびいて、
ふと子どもの頃に立った丘の草地を思い出す。
足元に広がる街は遠くなるほど霞んで、
大気に溶けていくみたい。
若いススキの葉が強い風にびゅうとなる中で、
負けない声で名まえを呼んだ、
同い年の従兄弟。
君がいなくなって、ずいぶん歳もとって、
いろいろなことがどんどん変わっていくけど、
変わらないことが沢山あるのだとわかった。
わかるために、
時が経った。