『蛇にピアス』 金原ひとみ
私がルイに出会ったのは中学2年生の秋だった。学校では全国読書週間とやらで、朝礼が始まる前、10分間ぐらいを使ってみんなで読書をさせられた。普段読書をする経験のない私は、保護者や卒業生から寄贈された本が並ぶ「学級文庫」という、黒板の横に設置されている書棚から、手ごろな本を選んだ。それが『蛇にピアス』だった。
しばらく座って本を読んでいると、だれかが私の肩を叩く。
振り向くと、金髪のギャルが悪戯っぽい笑みを浮かべて私を見ている。肌が白くて、年齢は分からないが、5,6個ぐらい上に