花子

私は子育ても仕事も終わり、残りの命を楽しんでいます。お金も家も定職もない人が大好きになって結婚し、忙しかったけれど幸せでした。そして面白い楽しい人生でした。今は海を見て飛び出す魚に感動し、空飛ぶ飛行機を見て、その下にすいすいと飛ぶ鳥にあこがれ暮らしています。

花子

私は子育ても仕事も終わり、残りの命を楽しんでいます。お金も家も定職もない人が大好きになって結婚し、忙しかったけれど幸せでした。そして面白い楽しい人生でした。今は海を見て飛び出す魚に感動し、空飛ぶ飛行機を見て、その下にすいすいと飛ぶ鳥にあこがれ暮らしています。

最近の記事

桜子先生 2 田舎

「お母さん どうしてこんな田舎に御嫁入したの」 ある日、潜り込んでいる布団の中で母に聞きました。 母の嫁入り先、つまり私の実家は、山陰線の鈍行で京都駅から一時間以上汽車に揺られて、下車した駅からバスで、今度は峠道を延々と上がり、頂上近くの隧道、つまりトンネルを超えて、またどんどん下って行った、日本海に通じる国道沿いの町で、昔は小さな宿場町でした。 あちこちの山間に田畑があり、そこに小さな集落が点在している田舎でした。 大阪の街で育った母が来る所だとは、とても考えられませんでし

    • 桜子先生 1 試験

      「お母さん、どうして医者になったの」 母は大阪の街で生まれました。そして大阪女子医学専門学校(現代は関西医科大学)第一回卒業生でした。 今から30年ほど前、母が80歳過ぎ骨折して、ほとんどベットで寝て暮らしていました。 そのころ私はよく実家の母のもとに帰りました。そしていつもベットで寝ている母の隣に一緒に寝て、母の昔話を聞きました。それがあの頃の私の唯一楽しみでした。 また母の楽しみでもありました。 私の休暇が二日以上続くと必ず母のベットに潜りこみに帰りました。 そして、いろ

      • 49回目のクラス会 順子さんへ

        今年もいよいよ冬到来の時期になりました。何はともあれ何事も起きずに時が過ぎるのをありがたいとおもっています。 本日は丁寧なお電話を有難うございした。あなたの声が聞けて、何年振りでも昨日の続きのようにお話しできるのが、嬉しいです。 クラス会も終わって早二週間も過ぎてしまいました。まだ昨日のような気がしています。面白かったこと報告しますね。 何よりうれしかったのは、みんなの満面の笑顔でした。そして全員が85歳の顔でした。山の木々のごとく年輪を重ねた元気あふれる20名でした。 まず

        • 正さんの子育て 3 キャンプ地を決める

          わが家のキャンプは毎年海で10日から二週間でした。 このキャンプが一年で唯一のわが家の家族遊びでした。 毎年お正月に、居間の大きな日本地図を見ながら、みんなで行きたい海を決めました。決めると正さんが近くの役場に電話して、海岸にキャンプ場があるか確かめました。50年以上前ですから、今のように情報は何もありませんでした。 場所がはっきり確定すると、息子が本屋さんに行ってその場所の地図を買ってきました。キャンプを始めたころはの息子は、まだ小学校の2.3年のころでしたから、買うのに苦

        マガジン

        • 正さんの子育て
          10本

        記事

          正さんの子育て 10 男の教育

          正さんは9歳で父親を失い、終戦後、中国から母子で引き揚げてきました。 すべての財産を失った一家は、家族が離散して暮らすしかなかったのです。 今から思うと、正さんのキャンプ生活や家庭での生活、父親としての生き方は、正さんが悲しく寂しかったころから夢に描いていた、理想の父親や家族の姿だったのかもしれません。 二人目の子供が生まれたとき、余裕はなかったのですが、小さい家を建てました。 子供の部屋、寝室、小さなダイニングキッチンと風呂、トイレ、それに正さんの書斎。 狭い小さい家でした

          正さんの子育て 10 男の教育

          正さんの子育て 9 日常生活

          夏のキャンプは子供の成長に連れて、期間は短くなりましたが、毎年続きました。 姉の一家は、きれいな海、立派なプール付きの高級ホテルで、豪華な食事をして夏を過ごしましが、子供が中学校に行くころには、夏休みの海水浴は終わりました。そして姉は、私の子供たちが高校生になっても、「キャンプだっけは行く」と言って、毎年キャンプが続くのを不思議がりました。 正さんの生活は、普通の生活でした。 正さんは物書きでしたから、仕事で外出する以外は、一日中二階の書斎でした。昼食後はひとりで散歩していま

          正さんの子育て 9 日常生活

          正さんの子育て 8 父親と母親

          ある日、海で遊んでいるはずの子供が、見えなくなりました。 あれは能登半島の東側の海で遊んでいた時です。 海岸が広く景色がきれいで、みんな大好きな海でした。 わが家は、いつも地図で場所を決めていましたから、私はどの場所も地名は覚えていません。 さすがに能登の海はプライベートビーチの必要はありませんでした。 どこでもプライベートビーチみたいでした。 息子が中学生のころのことです。下の娘は5.6歳でした。 毎日岩場に行って、魚取りしたりもぐったり、飽きない日々でした。 ある時息子が

          正さんの子育て 8 父親と母親

          正さんの子育て 7 暴風雨

          キャンプで一番大切なのは天気でした。 正さんの仕事の予定もありますから、キャンプの予定は、6月頃に決めました。 これは難しいことでした。現代と違って天気予報はテレビ新聞ラジオの報道だけで判断したのです。 「梅雨明け10日は必ず晴れる」と言われていましたから、我々は、梅雨が明けた日に出発したかったのです。6月ごろから梅雨前線がどこにいるとか、上がったとか下がったとか、高気圧がどこにあるとか、毎日、新聞見て子供たちは大騒ぎでした。 わが家の予報は、当たった時も外れたときもありまし

          正さんの子育て 7 暴風雨

          正さんの子育て 6 キャンプ生活

          キャンプ生活が始まりました。 夜明けころ私がテントの中から出ると、もうすでに正さんと息子はテントの外に座って、お茶を飲みながら海を見ていました。いつのキャンプでも朝一番は正さんと息子でした。 時々、息子は夜明け前から釣りに行くことがありました。その時は正さんが一人でお茶を飲んでいました。 「お早う 奥様お茶を入れましょう」 と言いながら、正さんがコップにいれたお茶をニコニコして私に渡してくれました。自宅では朝のお茶はいつも私が、正さんに入れていました。 朝ご飯は、パンや茹で卵

          正さんの子育て 6 キャンプ生活

          正さんの子育て 5 キャンプ地に到着

          待ちに待った海につきますと全員、車から飛び降りて、今年選んだ海を見に走りました。犬のハチ公まで興奮して走りました。期待通りの海も期待はずれの海もありました。期待外れでも、また別の海岸に引っ越して、テントを張ればいいのですから、誰も気にしませんでした。 一番始め、正さんを中心にテントを張る場所をきめます。テントは黄色い三角テントと家形のかっこの良いテントの二つを張りました。三角テントは正さんと息子用、おしゃれなテントは私と娘二人、そしてハチ公が使いました。 テントの敷地が決まる

          正さんの子育て 5 キャンプ地に到着

          正さんの子育て 4 キャンプに出発

          キャンプの日は、朝5時には出発するのが決まりでした。 年に一度の家族の遊びの日でしたから、家族全員わくわくして大ハッスルしていました。 よく行った海は、紀伊半島の海と能登半島の海、山陰の海でした。その他に、新潟から船に乗って佐渡島、正さんの友人のいる隠岐の島、この二つの島は到着までに途中の宿で一泊して行きました。正さんの故郷、四国の徳島の海にも行きました。正さんの子供のころ河口の海で鰺を取ると、おばさんが庭の酢橘を取って、鰺のお寿司を作ってくださったとか、それが美味しくて忘れ

          正さんの子育て 4 キャンプに出発

          正さんの子育て 2 子供の教育方針

          私たちは毎年子供を海に連れていくことになりました。 正さんは海が大好きでした。 初めての海は伊東の海でした。息子は一歳と二ヶ月でした。旅館から海に出て、抱っこして海につけたり、砂浜を歩かせたり転がせたり、一番喜んだのは正さんでした。 二年目は二人目を妊娠しましたから海は中止、三年目は赤ん坊の娘を連れて山陰の海の、高浜の民宿に行きました。京都の田舎が故郷でしたから都合がよかったのです。 息子は三歳になっていました。お父さんを独り占めにして釣りをさせてもらったり、貝や小魚で夢中に

          正さんの子育て 2 子供の教育方針

          正さんの子育て 1 父親と息子

          私の息子が還暦になりました。夫、正さんの子育てを思い出して書いてみた くなりまた。 息子が生まれたころの正さんは、忙しくて毎日深夜帰宅で、息子の寝顔しか見ない生活でした。彼はいつも疲れていました。 ある日息子が夜泣きをして困り果てました。おしめは濡れていないし、ミルクは飲んでいるのに、何が気に入らないのか泣きわめました。私は正さんが疲れているので、早くゆっくり寝させてあげたいと焦りましたが、なんとしても泣き止みません。そのうちに、うっかり私は、泣かせたままぐっすり眠ってしまい

          正さんの子育て 1 父親と息子