うまく人に気を遣えない兄妹

気遣いができる人ってすごいと思う。

わたしは誰かと一緒にいるとき、だいたいのことを相手に決めてもらう。
遠慮しているわけでもなく、単に意志だったり希望だったりがないというのもある。
わたしが他人に対していつもしているのは相手への気遣いでなく、
「自分のボロが出ないよう」気を遣う行為だ。

そう気づいたのは、博多に来て気遣いがすさまじい先輩と出会ったからだった。
気遣いとは、相手を思いやる気持ちなのだ。

少し前、兄が福岡に来た。
一日行動を共にして、わたしと兄は似ている、と改めて思った。

(下手に気を遣う)わたしと(下手に気を遣う)兄が合わさると起こることを知り、それがなんだか面白かったので書く。

昼は博多でうどんを一緒に食べ、
兄の希望で佐賀の武雄市図書館に出向いた。
夜は事前にわたしがいくつかご飯屋さんの候補を挙げ、兄に決めてもらったご飯屋さん(餃子!)を予約済みだ。

兄は図書館巡り(というか建築物?)が好きらしい。
過去にも車を何時間か走らせて目当ての図書館に一緒に行ったことがある。

無事に目当ての図書館に到着し、お互いに自由な時間を過ごした。
(館内にあるスターバックスを奢ってくれた!)

帰りの特急電車の時間が近づいていたので、我々は駅に戻った。
電車の中、特に内容のない雑談を続けた。
話題が近況になったが、とくに環境の変化もなかったわたしは
仕事が忙しくて寝不足であるという話をした。

なんとなく会話が途切れたので電車に揺られながら目をつむっていると、
兄がなんだか煮え切らない口調で口を開いた。

「僕も疲れたし君も疲れているだろうから、今日は夜ご飯はなしで解散しようか」

、、、え?
餃子は?????
割と楽しみにしてたんだけど?????
、、、
もしかして疲れたとか言っているけどわたしが仕事が忙しいとか言ったから気を遣っている????
それとも本当に疲れて行きたくないのか???

ぐるぐる考えた末に、
わたしの体調は全然問題ない。
餃子じゃなくてもいいけど、できるなら食べて帰りたい。
でも兄が疲れているならそのまま解散でもよい。
という旨を伝えた。
わたしのこれは建前でなく本音だ。
本音は伝えつつ、決定は相手に任せる、というようなことをよくやる。

お互いに気を遣うあまり相手の動向をうかがい、判断を相手に任せるが故に
一向に話が進まない。
いくら家族でも正直な本音とかわからない。

お互いの腹の底を探るような、着地点を探す戦いは電車を降りるまで続き、
決まったのは博多に着いてからだった。

夜ご飯は一緒に食べること。
だけど予約していた餃子屋さんは遠いから、キャンセルして博多駅で食べること。
そんな着地になった。

ご飯屋さんを探すときにもお互いがお互いの希望を聞こうとひと悶着しそうになったが、
幸運なことにすぐ入れそうなお店を見つけたたのでそこにした。(わたしにとってさらに幸運なことに、そこは餃子屋さんだった!)

そしてわたしたちは無事においしい餃子を食べた。

わたしは餃子を食べ、ハイボールを飲んだ。
普段あまりお酒を飲まない兄も、せっかくなのでと梅酒ソーダを頼んだ。お会計はわたしが払った。
もしかしたら本当に疲れていたのかもしれないのでちょっと申し訳ない気持ちもあり。

お店を出た後
「絶対あの店員さん「男側が払わんのかーい」って思ってた」
とぼやいていた。
そんなことはない。

兄に手を振り、わたしは満足して帰路についた。
おいしかった。兄と夜ご飯がたべれてよかった。

相手を真に気遣うのは難しい。
だができるようになりたい、と思う。

あの時兄は本当に疲れていたのか、または気を遣っていたのか
また機会があれば聞いてみよう。


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