(嘘)日記7/24/2024

※フィクションです……

>朝七時くらいに起床。オーストラリアで全裸でコアラとダンスし、その姿が光豊かなマティスの絵画になる夢を見た。刺激的な色彩は夏の感じがした。今日は水鉄砲について調査をしなければならなかったので七時十三分には家を出ないといけない。暑いから衣服の観念が段々と退化してきており、最近は漂白されて特徴を失った現代人のようなシャツを専ら着ている。コスメも汗を考慮しないといけず、面倒。髪を整えて出発し、熱帯のヨーロッパに向かう。荷物は銅貨十五枚に手形三枚、何でも入る袋、紙の束、豊かな目。

>公園には誰もいなかった。あんなに元気だった子供たちすら今は冷房のない所では生きてゆけない。こうしてまた一つ依存していく。私道は宣言されない限り私道とは分からないので、「この先私道デス♡」と赤い字で宣言が書いてある。私道の先は坂の下の窪地となっており、たっぷりと日陰を湛えていた。

>公道はジェラート屋さんと化しており、陽射しの逃げ場がなかった。法的な理由からジェラートの名のもとにパフェを売るお姉さんの話を聞いていた。お姉さんは脈絡が無く、トルコアイスの話がロシアのどこかにある小さな家の話になった。牛はドライフラワーに、取り決めは棚職人に変わった。豊かさの象徴だ。

>人は皆中心に集まっていく。人を集め、一定時間拘束し、解き放つ施設があるからだ。奇妙な施設だと思った。

>駅では鳩がゲロをついばんでいた。鳩には見えるものが見えていないのかもしれないし、見えていないものが見えるのかもしれない。電車が来た。湿度の高いフランスに行く電車だった。電車の中には優しい他人がいた。外国人の方から道を聞かれ、タオを教えた。教えた後の沈黙は以前の自分なら耐えられなかったかもしれないが、今はこの陽気な外国人が優しい他人だと分かっているのであまり気にせずに沈黙することができた。沈黙はGoldとも言う。言わない豊かさもある。補助シートは二人で座るには狭かった。

>夕日が巨大遊園地の向こうに沈んでいく様子を銀の板に収めた。それから皆で笑い、踊った。朝の夢は正夢だったという穏やかな確信が静かに迫る。この様子は銀板には投影されないが、マティスが絵画にしてくれる。皆の心にマティスはいる。しかしマティスが絵画にする以前に、自分でそれを文章に記したので、ここに文章がある。


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