【エッセイ】嘘つきは虫歯の始まり
自動車保険の更新ハガキが届きまして、内容をざっと読んで、ふんふんと確認するまでは良いんですが、
ディーラーさんを通した契約となるので、当然ハガキを読んで、ハイおしまいではなく、対面でのお話もありなので、
相手方のアポイントメントを取らなければならない。
と、なるとですね、わたしは途端にこう、動きが鈍くなってしまいまして、腹にぐっと力を込めないと動けなくなってしまうと言いますか。
何もしてないんですが、電話を掛けるまでに、常日頃低いモチベーションが、さらに削られるメンタルでして。
歯医者さんの予約も然りで、半年に一回の定期検診と併せて歯石除去もお願いしてるんですが、これがまた予約の電話をするまでが、なかなか難儀です。
行かなきゃな~と思ってから、1週間が経ち、2週間が経つくらいで「だめだ!電話しよ!」となるも、ようやく予約を済ませた時には、まだ受診もしてないのに、もう疲労感がたっぷり。
で、こないだの受診日。
担当して頂くのは、ほぼ毎回歯科衛生士のIさんで、だいたいのお決まりの口上もわたし覚えました。それくらいの長いお付き合いで。
「表面はきれいに磨けてるんですけど、歯と歯の間が磨けてませんね」
まずは、様子を窺いながらのIさんからのジャブですよね。
口を開けたままなので「ふぁい」と返事を返すわたしですが、しっかり顔面にパンチは当たってます。
「普段、フロスは使われてますか?」
歯科衛生士のIさんからの2発目。このボディブローが決まる質問に毎回苦悶の表情を浮かべています。
理由ははっきりしていて、わたしがフロスを使っていないからなんですが、こう何回も歯磨きの指導までしてくださるIさんを目の前に、はっきり「使ってません」と言える度胸もなく、かと言って毎回フロスを使うのもめんどくさいので、「ふぁい」と返して、完全な嘘をついてしまうわたし。
そんなモヤモヤを抱えつつも、時間は過ぎ歯科基本検査が終わると歯石除去のフェーズ2に移りまして、
Iさんも始める前はね、「痛かったら教えてくださいね」と優しく声をかけてくださるんですが、
いざ、口の中にドリル音が鳴り響き始めると、キーーーーーィンという破壊音を通して伝わるんですよね。
いぃんや、嘘つけやぁあ!!
てんめぇー、ごらぁぁあ!!
てんめえのきっっったねえなあ!!
歯ぁ見りゃあなぁぁあ!!
フロスなんか使ってねーの!!
わーーーかーーーるーーーんーーーだーーーよぉぉおおお!!!!!
耳では聞こえないIさんの罵る声が、歯の神経を通してはっきりとわたしの心に聴こえて、続けての波状攻撃のドリルで奥歯をそんなに何回もえぐるかね~って痛みで、こちとら両の拳を握り締めて耐えに耐えたんですけど、さすがに涙が出ましたね、はい。
とは、言ってもですよ!
#いい歯のために 、毎回施術後のありがとうをわたしが心から言えるのは、Iさんが丁寧に1本1本歯を診てくださるからです。
嘘じゃないですからね?