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握力

先日、握力を測らせてもらった。右25kg、左20kg。60歳でももっとある、と言われた私は53歳。とほほ。

でも、個別株の握力はそれなりにある方なのよ。
2007年8月、初めて買った銘柄は買い増したり一部売却とかしながらも、ずーっと持ってる。テンバガーではないが株価は当時の6倍近くになった。
他の銘柄も、評価額がマイナス50%くらいになったとしても、それだけを理由に損切りはしない。

一方、ある投資家仲間は「高所恐怖症」と「羹に懲りて膾を吹く」状態だ。利益が50%を上回ると買い増してすぐ一部を売却して損益率50%未満に調整し、少しでも買値を下回ったら損切り。ポートフォリオの損益率はプラス5〜45%の範囲で並んでることになる。それで精神的に安定するそうだ。

私には全く無い発想だ。私のポートフォリオは散らかっててポリシーも戦略も無いが、トータルで大きくプラスなので細部は気にしない。大きなマイナスから華麗に復活する銘柄もあるし、飛ぶ鳥を落とす勢いだった銘柄がしょぼしょぼと沈んでいくのも見た。株価予測なんてできないし、良いタイミングで利確や損切りできたかの答え合わせは何年も経たなきゃわからない。
そもそも自分の買値に意味なんて無い。プラスがずらっと並んでたら気分は良いかもしれないが、買値よりマイナスなことだけを根拠にダメと判断するのはいかがなものか。現時点で投資価値があると思えば継続保有するし、ダメだこりゃなら買値よりプラスだろうがマイナスだろうが売るだけ。利幅調整は目先に納税額を減らせる効果はあるけど、トータルで節税にはならない。

自分の買値を売買の絶対的判断根拠にする効能は「精神の安定」以外に見当たらない。そして目的が「精神の安定」なら、投資よりマシな方法はいくらでもある。この投資家仲間の行動は勉強にはなるけれど、ちょっと痛々しい。

握力があっても勝てるわけじゃないし、損切りさえしていれば勝てるわけでもない。ただ、株とのお付き合いって何十年にも及ぶのだから、長い目で見ないと。目先のわずかな数字で右往左往するのならインデックス運用の方が成績も良くなると思うしメンタルにも良かろう。おおらかな気持ちで株たちの成長を見守る視点を持つことこそ「精神の安定」になる。