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バラマキか無償化か(前編)

シリコンバレー銀行破綻、シグネチャー銀行営業停止、クレディスイスの経営危機で、久しぶりに株価が大幅に下落。直前の高値から底まで我が家の生活費2年分くらい手持ち株の評価額が下がって涙目であった。それでも日は昇り、いつもの今日が始まる。

さて、生活困窮者に3万円ばらまくとかの話もあり、「富の再分配」について、経済の素人だけど財テク(死語)はまあまあ頑張っている気がする自分の考えなどをつらつらと。

資本主義の先行き

資本主義社会は行き詰まりとか破綻とか言われるが、資本主義って人間の欲望そのままだから、人間の社会が続く限り無くなるとは思えない。
マルクスやピケティが指摘するように資本主義には格差を広げる性質もあるので、「富の再分配」は社会の安定化と持続性のために必須でもある(再配分自体は貧富の差の縮小に貢献する割合は小さくて経済成長の方が貢献度が大きいという意見もある)。
多くの先進国内では、富の再分配と社会の維持を目的に、税金を徴収して行政サービスなどで還元している。
地域一番の金持ちが学校やゴミ処理施設を運営しても良いのだけど、地域格差があったり金持ちの気が変わって急に畳んだりされると困るので、国と行政が担当するのが持続性のポイントであろう。

富を再分配する方法

さて、富の再分配の方法は大きく分けて4種類ある。

1.徴税額で調整

高所得者が多く納め、低所得者や扶養人数が多い人は少なく納める。所得税率と扶養家族控除、障害者控除などが具体的な方法。税金ではないし自己申告制だが、国民年金保険料の免除や納付猶予も該当すると言えよう。

2.サービス利用料で調整

健康保険利用時の自己負担割合が収入(厳密には納税額)で異なったり、年収に応じて1ヶ月の医療費負担額に上限が設けられている高額療養費制度などが具体的な方法。認可保育園の保育料、国民健康保険料なども該当する。

3.給付

新型コロナ流行時の給付金、生活保護などが具体的な方法。子ども手当も該当する。

4.無償化

学校教育やゴミ処理、定期接種ワクチン、乳幼児検診や自治体主催のがん検診など。

再分配の方法は狙いどおりに機能しているか?

さて、これらの方法は一長一短で、単独で万能というものでは無い。例えば、一見公平そうな徴税で調整する方法も、土地や家屋なら評価額に応じた固定資産税があるが、金融資産だと利息や売却益に一定の税率で課税するしかなく、金融資産保有総額による調整が難しい。
消費税は、所得に応じて上がるものでは無いため(2倍稼いでも2倍食べるわけではないため)、逆進性(低所得ほど高負担)があると言われている。
これらの再分配手段は全て今の日本で実施されているが、格差の指標の一つであるジニ係数も大きく改善はしていない。再分配を一切しない場合よりはマシだろう、とは言えるが、国民の満足度も必ずしも高くは無いだろう。例えばペーパー離婚で認可保育園に有利な条件で入園、生活保護の不正受給など、実際にどこまで有効かはともかく、話としては聞くし実際機能していないではないかという根拠の一つくらいにはなりそうな抜け道であろう。
また、再配分のコストというのも規模が大きいと無視できない。お金持ちから徴税して配るにしても、配る相手に確実に渡すには手間がかかる。手間は無料ではない。
というあたりで、より良い再分配の話は次回へ持ち越し。