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相続人を困らせないために

父が亡くなった。
もう10ヶ月も前の話だし、その数年前から心臓と脳にいろいろあって、家族は覚悟していたことだから心情的には大きな問題は無し。多少の入院はあったものの、介護は不要だったし、自宅で普通に晩酌しながらご機嫌で夕食摂って夜中に亡くなったので、幸せな最期だったとは思う。
で、問題は相続。
故人はヒラのサラリーマンだったが節約と運用によって一代でそこそこの財を成していた。
これ自体は遺族的には非常にありがたい。家族が一緒にいた時に、思い出作りや生活の充実にもっと使っても良かったのでは?と思うものの、お金がいただけるのならありがたいこと。
さらに10年以上前に公正証書遺言を残してくれていて、非課税の死亡保険金も相続人全員を受取人としてかけていてくれた。遺言で指定された相続は概ね法定通りで、遺族間で揉める余地が無いのも良かった。
ただ、相続の対象物がイマイチだった。


貴金属

財産に地金が少々あって、きれいに遺言通りの比率に分割できたのだが、地金購入時の証明等が一切残っていない。バーの番号から製造年は特定できるものの、これでは売却後の納税に困る。
そう、地金というのは相続財産として課税対象なのに、売却すると利益は総合課税されるので、売却益からの納税に加えて翌年の住民税額や国保等にも影響するのである。200万円以上の取引はマイナンバー付きで取引店から国税に届出する必要もあるため、納税をバックれることは不可能。
父の親族は、太平洋戦争中に中国だか韓国だかで裕福に暮らしていたが、敗戦で着の身着のままどころか命辛々逃げ帰ってきたそうで、この話を何度もしていた。通貨が消滅するレベルの有事に、貴金属で備えたかったのだとは思う。
が、換金しようにも容易にはできず、家に置いておくわけにもいかないので保管料が必要な貸金庫に預けるなど、目先のお金がかかるのが難。

私は結構前から株をやっているので、株券の相続自体は歓迎ではあった。ただ、株のままで相続するには故人と同じ証券会社に口座開設の必要があり、これが大手の対面証券会社。しかも2社。もうこの時点で「全部売って故人の準確定申告をしてから相続」と決断すれば良かったのだけど、口座開設してしまった。
そして蓋を開けてみたら、ほとんどがMRF。つまり現金状態。さらに、特定口座も少しはあるものの、一般口座預かりの株がいっぱいある。一般口座だと、配当金も確定申告して納税しないといけないのだ。やだもう。
当初は売買手数料が安いネット証券口座に移管してから売ろうと思っていたが、対面証券会社は移管にも手数料が要る。ムキーっ!となりながらも確定申告を何年も持ち越すのが嫌で一般口座分をどんどん売る。極めて少数の端株で低位株など、売却額より手数料の方が高い。それでなくても業種の偏りが大きいし、グロース銘柄なんて一つも無くて、特定口座分も維持する価値がある銘柄は数銘柄。

お父さん、あなたの運用、イマイチ過ぎます。

私もネット証券2か所と取引があったけど、相続までに1か所に集約することを決意。あと、端株問題が出るので現金での相続を推奨するつもり。それ以上に、子や孫に見られても恥ずかしくないポートフォリオにしなければ、と強く思った。母も今回は株で相続したので、いずれそれを私と兄弟で相続する日が来るが、全部現金にしてから相続する。

変な現物は無かった

古美術とか売れない不動産とかが無かったことだけは救いだったかもしれない。あと、ゆうちょ銀行は相続がやたら大変らしいのだけど、ゆうちょ銀行口座が無かったのも少し手間が省けた。でもでも、一般口座分の分離課税確定申告のことを思うと本当に本当に頭が痛い。亡くなった悲しみも相続のありがたさも全部帳消しになりそう。あと、相続税の申告にあたっては故人の財産を全列記しないといけないので、銘柄数が多いと相続人が大変。

結論

相続人を困らせないためには下記が大事。8項目もある。自分も実行しないと。あうー。
・借金を残さない。
・非課税生命保険枠を目一杯使う。
・資産価値があろうと無かろうと、物(不動産も貴金属も)を極力残さない。
・取引金融機関を最小限に絞り、できればゆうちょを避ける。
・有価証券の種類を出来るだけ減らす。
・一般口座取引をしない。
・資産のある場所を明記しておく。
・法定相続人以外に相続させたり法定比率を変えたいなら公正証書遺言を残す。