夏の記憶と課題図書② 2024/06/20 -2
続きです。
何から書けばいいのか分からなくなって、そもそもわたしは何を書きたいんだっけ?となって、そうしたら「わたしは感情を感じるのが嫌いだ」と出てきた。わーお、いきなりぶっ飛ばしてくるねー!ちょっと落ち着いたら?イヤイヤ、落ち着いてなんか居られないっしょ、だってここの扉開けるんでしょ?この扉があること、ずっとスルーしてきたのに、とうとう気付いちゃったんでしょ?そりゃ興奮(?)もしますよ、ぶっ飛ばしますよ(by潜在意識)。・・・ほー。なるほど、そりゃそうだ。わたしは自分を落ち着かせようとしているけど、そうしないといけないくらいには内側にまだまだcomplexの状態のままのぐるぐるひとかたまりになったそれ(でも周りから自然と少しずつ解れているそれ)が、自分がいる場所に重なって浮いているような感覚がある。
夏は嫌いだ。家にいることが嫌いだ。学校が好きなのかと思ったがそういうことでもない。でも家にいるよりはマシ。だから好きなんだと思っていた。学校が好き、勉強が好きといえば褒めてもらえたし、それ以上の理由を追求せずに居られた。分かりやすく周りに理解してもらえる理由は明快かつ単純でいい。自分のことを話しているようで、そんなこと全然していないのに、そういうふうな感じになると楽だ。そして、これは本当のことなのだが(しれっと闇深いことを書いておいて掌を返すようだが)、実際本を読むことも何かを学ぶことも本当に好きだ。それは間違いなく本当のことで、知らないことを知るのは面白い。学んでいるとき、知らないことを知りたいと思っているとき、本を読んでいるとき、そういうときは自分と一緒にいられる。
そうだった。本を読むとき、わたしはわたしと一緒に居られた。本を読むことは息をすることで、わたしと2人きりになることだった。子どもの頃はそういう風に思って読んではいなかったが、今振り返って言葉にしてみて、ここに書いたような表現が先に出てくるということはそういうことなのだと理解した。本を読むと、その世界に浸れるのが好きだった。現実を忘れて、本の世界に没入することができた。これは、今のわたしが使っている個の特性を逆に利用したものであるといえる。本の中に自分を自分を忘れるくらいに入り込ませることで、自分を守り/護り、自分で満たし、浄化していたのだと思う。自分だけでいることを意識することを知らなかったし、自分が誰かをわかっていなかったし、周りの期待に応えることで存在意義と価値を受け取っていて、そして何よりそのことには気付いていなかった。存在することそのものを最大の担保として生きていた世界の中で、わたしがわたしで居られる場所は本の中にしか無かった。学び舎での学びは、ここにいるわたしのままで(つまり肉体を持ったままの状態で)整合性のとれる、現実的に齟齬のない在り方としての存在方法だったのだろう。自分の純度は圧倒的に違うにしろ、学校という場所と学びという場とエネルギーが、わたしをわたしにしていたということでもあったのだと思う。
だから、わたしはずっと本を読んでいた。教科書も本だったので、国語の教科書は受け取った日に全部読んでいた。試験問題も本みたいなものだったので、結局試験を受けているという感覚は国語に関しては最後までなかった。物語の中に入り、その中にあるものから問いとして問われているものを答えて欲しいのであろう最善解をもって返す、あるいは選択式問題の場合は選択する。それだけのことだった。高校のとき、模試が終わったあとに父に「模試の小説で出てきた本が欲しい」ということを話したときに、何故かそういう話になった。問題になっている文章は必ず出典元の記載があり、気になるときはそれを覚えて帰るのが常だったので、とうとう全文を読んでみたい衝動に駆られたわたしはそのまま父にそれを話したのだと思う。そしたら、そんなところまでよく覚えているなというか、そんなところを見ているのかというか、そういうことを問われて、逆にびっくりして「だって試験問題も本やもん」みたいなことを言ったら、「そうか、そもそもそこから違うんか」という呟きとともに、謎に納得された。ちなみにそのときに父に話して買ってもらった本は吉本ばななさんの「TUGUMI」だ。なぜ、つぐみはそんなに性格が悪いのかを判断するには単純に問題に引用された分量の文章では文章が足りなかった(日本語としては変ですがあえてそのままにしてます)。なぜそんなに人の気持ちを考えずにいられるのかと純粋に疑問に思ったのだと思う。自分には理解できなかったが、本能的にひかれたと言ってもいいと思う。そのくらい、あのときの模試のことはよく覚えている。そして、言うまでもなく、この記憶も夏のものなのだろうと思う。
長くなっているのでまた続く。
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