21さいの僕が「イヤァオ」という言葉に感化される理由
たまにはサッカー以外のことも書いてみる。
最近話題になっているこの言葉について
皆さんは、「イヤァオ」と言われて何を思うだろう。
「え、何それ?」と思う人もいれば、「ああ、あれね」と頷く人もいるだろう。
わからない人のために説明すると、この言葉はプロレスラーの中邑真輔という選手が放つ決め台詞だ。試合に勝って、会場全員で「イヤァオ」と叫ぶときもある。中邑は新日本プロレスを経て海外のプロレス団体「WWE」に所属しており、看板選手のひとりとして大活躍。日本では現在、「3年A組」というドラマで永野芽郁演じる高校生が中邑の話をしたり、川崎フロンターレの中村憲剛が「イヤァオ」をゴールパフォーマンスにするという形で注目を集めている。
普通に聞けば意味不明な言葉である「イヤァオ」。本人が週刊誌の取材でかつて語ったこの言葉の意味は単純明快だった。
「イヤァオに意味はない。各々で当てはめてくれ」
本人も様々な形でこの言葉を発してきた。チャンピオン時代には挑戦表明してきた相手に対して一言「答えはこうだ、イヤァオ!」。試合に負けた後に「それも人生、イヤァオだ」と。
正直、意味不明すぎる。それもそう。意味は受け手次第なのだから。
私は中邑が新日本にいた頃から試合を見ているが、中邑が試合中に魅せるエモーショナルなスタイルに自然と惹かれて行った。なおかつ「イヤァオ」だなんて言われるもんだから、エモくてエモくてしょうがないのだ。
感情のやり場は、時に言葉に表せない時がある。いま抱いている感情に代わる一言が見つからない時、私は「イヤァオ」という言葉をお借りする。私の人生に多くの「イヤァオ」が投下されてきた。高校時代に足を骨折して高2の夏休みを棒に振った時、大学受験に失敗した時も「イヤァオ」で片付けてしまった。
物事を整理するとき、困ったら「イヤァオ」と発してしまう謎の人格が中邑の策略によってまんまと完成してしまった。友人からは「『イヤァオ』ってなんだよ、キモい」と言われることもある。正直、悩んでばかりでモジモジするより、イヤァオって言っちまった方がよっぽどいい気がする。
でも、就職面接で役員を前に「イヤァオ」なんて言えるのだろうか?
好きな人に告白したい時に、「君のことがイヤァオなんだ」と伝えられるだろうか?
一挙手一投足に「意味」や「理由」が求められる現代社会に投じられた4文字のマジカルワード。プロレスファンであってもなくても感化される人はきっと多いはず。アメリカでは中邑が観客とともに「イヤァオ」しているわけで、日本の枠を超えた世界の共通言語と言っても過言ではないだろう。
正直、こんな記事を書いている自分に対してもかける言葉が見当たらない。就活という人生の岐路に立たされているのに、なぜこの記事を書いているのだろう。SPIもやらず、業界研究もやらずにスタバでわざわざコーヒーを買って座ってこの記事を書いている。
そう、これこそ「イヤァオ」なのだ。