歯磨きおじさんは女子高生
近所に「歯磨きおじさん」といわれている伝説のおじさんが居る。
時々わたしたちの前に現れては「歯磨きはいいぞ、みんな歯を磨くんだぞ」と、言い置いて去っていく。そして、おじさんは、歯ブラシを3種類駆使しながら歯の健康を保つ。
まずは電動歯ブラシをぶいぶいいわせながら磨きあげる。そして普通の歯ブラシ。そのあとには、細かな部分を磨くための局所ブラシ。片手で3種類の歯ブラシをクルクル回しながら、歯磨きを怠っている人をさがし、歯磨きの素晴らしさを伝導して回っているのだ。それをしていない人を見つけると、「なぜ」それが大切であるのかをとくとくと語って聞かせる。
そして、ときどき綺麗なものが大好きで噂好きな女子高生に変身する。
るんるんと言いながら、クラスメイトと恋バナをする。そして時々ほんとうの恋をする。そんなときには恋の相手と繭玉の中に入って空中に浮かび、「ほらね、だから歯磨きは大切なのよ。」と言う。
そんな時に得意な歯ブラシによって光り輝く歯がいきてくる。なにしろぴかぴかだから無敵なのだ。
恋のライバルが現れても、そのかがやく歯を見せれば相手はひれ伏すし、逃げていく。
だからおじさんは今日も恋をして歯磨きをする。そして時々女子高生になる。いつも本当の姿を見せないまま、誰も彼の本来のすがたを知ることが無いのだ。
それが、おじさんの真髄なのかもしれない。ほら、あなたの近くにも居るでしょう?それが歯磨きおじさん、時々女子高生ですよ。