第1回しなコン!でレギュラー部門を受賞した話とそのまわりの話と他の方の受賞作の感想

今回はこう名乗らせていただきます。
月駆(げつく)と申します。よろしくおねがいします。
(のび男の創作名義と思ってくれればOKです)

声劇コンベンション「こえコン!」にて先日まで開催されていたシナリオコンテスト「しなコン!」にて、自作『赤腕の亡霊』がレギュラー部門で受賞しました。俺は!!!!やったぞ!!!!

ということで自作の話と、他にも受賞している方々の作品を読ませていただいた感想などを書いていきます。


前提:「こえコン!」「しなコン!」とは

こえコン!

「こえコン!」とは……を自分が語るより、実際にこえコンのサイトやそこでの説明を確認頂いた方が良いかと思います。これ以上何を説明しようとしてもそれ以上の情報が与えられないので……。

『こえコン!』とは、声と物語が人をつなぐ、声劇コンベンション――略して『こえコン!』のこと。 オフラインの場で、作家はシナリオを持ち寄り、出演者は新作を中心に選りすぐりのシナリオを演じ、みんなで楽しもうという趣旨のイベントです。

『こえコン!』について

「リアルの会場を借りて、声劇を上演したり聞いたりして楽しみましょう!!」というイベントです。

しなコン!

声劇を上演する以上シナリオの存在は必須なのですが、
このたびこえコンで上演されるシナリオをコンテスト形式で募集します!というイベントが開催されました。それが『第1回しなコン!』になります。
募集要項はざっくり以下の通りです。詳細は上記こえコン!のサイトのしなコン!の記事を読んでいただければ良いかと。

  • 1万文字以内(キャラ名を含む)

  • キャスト2~7名

  • レギュラー部門(20~30分)3作品とショート部門(10分前後)2作品が受賞作として選ばれる


自分の話

レギュラー部門で受賞いたしました

さて冒頭の話に戻ります。
このたび月駆名義で応募したシナリオ『赤腕の亡霊』が、レギュラー部門で受賞いたしました!!!!!ありがとうございます!!!!!!
受賞したお話を聞いたときにグッッッッッとガッツポーズしたしちょっと泣きそうになりました。

こういう賞レースというか、受験みたいなものもそうだけど「自分なりに頑張ったけれど、受かる(受賞する)かどうかギリギリまでマジで分からない」ものに対する結果発表までのドキドキ感、あまり経験のないもので本当に慣れないなあ……!って思いながらドキドキしてました。
おかしいなあ……受かったときも落ちたときも全部シミュレーションしていたはずなのに……

作品自体は上記こえコン!のサイトから『赤腕の亡霊』のページへ飛んでいただければと思います。

そもそも何本書いたの?

さて、受賞をした月駆さんの作品、運営様のコメントに以下の文があります。

月駆さんはこのほかにも何作か応募してくださいましたが、その中からこの作品を選ばせていただきました。

第1回『しなコン!~こえコン!シナリオコンテスト~』結果発表!

おおっとまさかの複数応募に言及されてしまったゾ!と少し笑ってしまいましたが、今回自分はしなコンに全部で3作応募しております。
応募要項の方に「複数応募はOKだが、受賞は1作品のみ」というものがあったので、感覚的には「募集期間内(2月~7月末)に書き上げた作品で、応募要件を満たしていれば出す」みたいな心持ちでいました。自分がいまいちと思っていたとしても、それが他人もいまいちと思うかどうかは分からない……!

赤腕の亡霊の他に応募したのは以下の2点です。

  • 第五回十二支喫茶運営会議(不問5人、コメディ、20分程度)

  • 盛杉君(男2人、コメディ、10分程度)

応募作品を書くときに考えていたこと

こえコン!の過去開催内容を確認し、上演されたシナリオのジャンルがおおむね「コメディ」「コメディではない」がだいたい半々である、という感じを受けました。
つまり今回の受賞作もその2ジャンルが半々で選ばれる可能性が高い……。だったらどっちのジャンルも1本ずつ書いて、引っ掛かる可能性を少しでも上げていこう! というのが出だしにありました。

書く内容の方向性として「音響とか演者募集難易度とかを諸々考えず、自分の『面白い』を全力でぶつけてどこまでいけるか試す」と、「音響などが極力不要で演者も不問としつつできるだけ多く募集できる形で、かつリスナーなども巻き込んでいける方向性の、面白くかつ使いやすい作品を用意する」の2軸を用意しました。

それらを踏まえた上で期日までに作品を出すこと、かつ「こえコン用に新しくこさえる」のではなく「書きたい/書けると思ったものが要件を満たせたら出す」という方向でネタ帳をあさり、その結果選ばれたネタのタネが「第五回十二支喫茶運営会議(演者不問5人コメディ)」と「赤腕の亡霊(男2女2シリアスファンタジー)」です。
方針とネタのタネさえ決まれば、あとはエチュードをハクスラしてリバースカードをセットしたりオープンしたりするだけです

  • 『第五回十二支喫茶運営会議』

    • 不問5人なのでキャストを集めやすい。ちゃんとキャラも立てた

    • 会議形式なので動きがほぼ無い。効果音に悩まない(地味になる?)

    • 『十二支』というテーマを使う事でリスナーにも身近に感じてもらう。何なら交流会とかの会話のお題にもなれれば……

    • 使いやすくても面白くなければ意味がないので、そういう打算を抜きにしても面白くなるよう話もしっかり作り込む

  • 『赤腕の亡霊』

    • 自分の出力できるほぼ最大限の面白い話を詰め込んだ

    • 老人出るわ幼女が出るわシーン変わるわ音は一杯必要だわ得体のしれない装備が出てくるわで、諸々の難易度は高くなっている気がする

    • でも全部そろえば面白いと思うんだ……面白いと思うんだ……!その面白いと思う内容が難易度を超えて伝わってくれれば……!

結果『赤腕の亡霊』が選ばれたことは、
「とにかく自分の出来ることを詰め込んで書いた話が受賞作に選ばれた」
ということになり、喜びもひとしおでした。正直自分の中では一番可能性が低いと思っていたので……

盛杉君は「あっ浮かんだ」となったのでおもむろに書き上げて応募したものです。正直コレが受賞してたらどうしようかと思ってた


他の受賞作品を読ませていただいた感想

もちろん他の受賞作の方々も素晴らしい作品ばかりでした。
自分も読ませていただいてウオオ……となりっぱなしだったので、新鮮なうちに感想をしたためつつお勉強させていただこうかなと思います。

魔王城の7人(作:雪のキシイ様)

  • そもそも概要(物語の表向きのテーマ)が面白いのが凄い。
    こんなの絶対読みたくなるじゃないですか!

  • 出だしの名前を呼ぶシーンで「ダダ被りしたがwwwwwww」ってなりました。俺もそういう出だしで会議する台本(第五回十二支喫茶運営会議)を応募してる……! 不問の人数もこちらのほうが多いし展開もこちらのほうが派手……!!

  • 暴力禁止の会議をするときにどういう決め方をするかの案、そしてその結果どうなるかというのがひとつひとつ上手に描かれていて「次は何でくる?→次はどういう展開になる!?」というわくわく感が良かったです。

  • 終盤の良い感じに決まりそうな所でもエモみのある雰囲気での撤回が来たと思ったら、本来の目的が明かされたときの管理職押し付け合いの雰囲気の切り替わりでまた面白く、最終的に暴力で決めるんかい!! 魔王混ざるんかい!! 新しい魔王誕生するんかい!! のラストスパートがとても上手に作られていて素晴らしかったです。

演者のいない演劇部(作:さくらもち様)

  • そもそも概要(物語の表向きのテーマ)が面白いのが凄い。
    こんなの絶対読みたくなるじゃないですか!
    (1作品ぶり2回目)

  • キャラクターたちの性格や関係性、「これは一筋縄ではいかなさそうだ」という展開が予測できるだけの情報を、出だしのやり取り(1ページ以内)だけで充分に表現されていて上手……!となりました。それぞれのキャラクターの性格の特徴も明確で分かりやすかったです。

  • 序盤のワチャワチャから、ヒナが加わって最初の課題が解決したとおもったらまた新しい課題とワチャワチャがあり、二度三度おいしい! 飽きのこない状況展開の構成が見事でした。ユキトくん演者やらされてたっていうから上手いと思ったらそういうわけでもない!w

  • 終盤の「そうなるんだw」と思ってからの「そうなるの!?」という二段構えでオチも綺麗に決まっていて、落ち方もどことなく前に進めそうなポジティブな余韻で良かったです。

ユメカナイノ館(作:栞星-Kanra-様)

  • 序盤から漂うどことなく不穏な雰囲気を伴ったまま、しばらく何事もないかのような展開を重ねていくことで「どうなるんだ……」というドキドキ感を貯めていく流れが上手だと思いました。
    出だしでのその不穏な雰囲気の作り方も上手で、読み始めから「ああこれは不穏な話だ」と分かる作りになっていて良かったです。

  • 途中で不穏の雰囲気が館から飯沼の方にシフトするのも「そっちか!」という意外性があり面白かったです。

  • 最終的なネタバラしと飯沼の顛末(スカっと)、次の話への布石、そして双子の目的が明かされて締め、という展開も、綺麗にまとまって構成されていて分かりやすく読むことが出来ました。館という枠組みが決まっているので、次の話(シリーズ化)もやろうと思えばできるということ……!

ささくれ(作:ものかき様)

  • ワッ……ワァ……すご……エモ……やべえ……

  • 落合のモノローグで出てくる「ささくれ」の指すところが、二人の会話中に実際に出てくる「ささくれ」と重なり、それが最後に秋庭のモノローグで回収され、それらをタイトルの「ささくれ」で充分に説明できており、すごくカッコイイです。実際にささくれを千切った上で秋庭も離れていくような展開も、比喩と実際の現象とそれによる二人の心情とを綺麗に重ねていて、もう!

  • モノローグの心情表現もすごく雰囲気が出ているし、二人の会話も何気ない中で関係性が見えてくる絶妙な雰囲気が作られていて、上手だ……!となりました。このなんというか、それぞれの心情と表向きの会話のギャップのもどかしさが! すごい! こう!

全体を通して自分も欲しいなあと思った技術(自分の話)

今回の受賞作を読ませていただいた上で、「こういうの自分でもできたらいいなあ」と思った表現技法というかそういうやつの備忘録です。
いわゆる今後の課題というやつです

  • 概要で「面白い(興味深い)」と感じられるようなテーマづくり、ないし概要の書き方

  • 「こいつはこういう性格でこういう立ち位置のキャラ」という自己紹介を開幕数セリフで紹介する方法

  • 終盤にギュバッと新情報で方向転換しつつそのまま諸々回収してラストスパートを駆け抜けるやつ

  • 関係性が見えてくる絶妙な雰囲気の会話バランス

おわりに

しなコン!で自作が受賞した嬉しさと執筆時の振り返りと他の方の感想から勉強させてもらう所と、といった形でお話しました。
これを機に月駆の他の作品も読んでもらえるとうれしいな!! 感想いつでもお待ちしています!!

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