「街の小さな映画館」第19回 小倉昭和館
塚本晋也監督が撮る!ミニシアターの魅力を伝える動画「街の小さな映画館」第19回は、小倉昭和館さんです!北九州市では唯一の一般上映の既存単館映画館で、現存する中では福岡県内で最も古い歴史を持ちます。1939年に芝居小屋兼映画館として創業しました。2022年8月10日、旦過地区一帯を襲った大規模火災で焼失。多くの映画人、地元内外のファンからの応援の声を受け、2023年12月に再建・復活を果たしました。
公開された動画では、火災での焼失を免れたネオン看板、温かみのある木を使用した内装のロビー、映画人の名前が刺繡された座席、新たに導入された35mm映写機などを辿ります。インタビューでは館主の樋口智巳氏が火災からの再建の経緯、応援団長であるリリー・フランキーさんの存在、サブスク時代に映画館で映画を体験することの意義、支えとなるお客様への感謝などを語ります。
【塚本監督から小倉昭和館へ】
以前の昭和館は2スクリーンで、2つのシアターをつなぐ裏道は屋根裏にあり、秘密基地のようで、次に訪れた時は、そこに入れてもらうよう頼もうと思っていた。消失した後再建された映画館は1スクリーンになったが、訪れて見渡した外観は、以前の映画館を彷彿させすぐに親しみがわいた。秘密基地に訪れる夢は叶わなかったけど、樋口さんの多大な努力と多くの人の協力で、素晴らしい劇場に生まれ変わりました。
再建、あらためておめでとうございます。
小倉昭和館
福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-9
TEL:093-600-2923
https://kokura-showakan.co.jp/
座席数: 134席
1939年(昭和14年)に樋口勇氏が「まちの人の喜ぶ顔が見たい」との思いから、芝居小屋兼映画館として創業。片岡千恵蔵、長谷川一夫、阪東妻三郎らが舞台に立つかたわら邦画の上映でにぎわう。昭和30年代には映画専門となり、館名を「小倉東映」として東映作品を上映。その後「小倉松竹」となり松竹作品を上映。昭和40年代には座席数を減らし、パチンコ店を併設。日活ロマンポルノを上映した時期もあった。1982年(昭和57年)にパチンコ店を閉め、2号館をオープン。1989年から東宝洋画系の作品を中心に、洋画の封切作品を上映開始。1996年ごろからは子ども向けのアニメや単館系作品も上映し活況となる。シネマコンプレックスの進出などにより、2004年に「既存一般単館上映館」として市内で唯一となると、封切作品に加えて、2本立て興行も始めるようになる。2代目館主の樋口昭正氏から映画館を引き継いだ3代目館主の樋口智巳氏は当初は閉めるつもりで小倉に帰ってきたというが、有馬稲子さんや高倉健さんの言葉に励まされ映画館を守ることを決意。地元ゆかりの映画人や作家を招いてのイベントを積極的に企画し、館主自ら売り子として幕間に客席をまわるなど、地域の交流の「場」として愛されてきた。2022年4月11日に隣接する旦過市場でおこった大規模火災では延焼を免れ、館内を被災者や警察・消防関係者に開放するなど復興支援に尽力したが、2022年8月10日、旦過地区一帯を再び襲った大規模火災で焼失。復活を願う多くの声が寄せられ、1万7000筆超の署名、リリー・フランキーさんを応援団長として立ち上げたクラウドファンディングには2200人以上のコレクター、多方面からの寄付金が集まり、再建。2023年12月8日に『ニュー・シネマ・パラダイス』の上映でプレオープン、12月19日にグランドオープン。再びの『ニュー・シネマ・パラダイス』や『RRR』などを上映した。「止まり木のような集いの場」を目指している。多くの人の思いと願いのつまった映画館である。
【『野火』上映記録】
2015:11月14日~12月4日 ※『この国の空』と2本立て
2024:8月17日~8月23日 ※『ほかげ』と2本立て *黒田征太郎さんとのトークイベント:8月17日