『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン(著)服部京子(訳)
めちゃくちゃ楽しいジュブナイルミステリィ。主人公ピップの可愛いながらもパワフルな捜査が痛快! ソーシャルハッキングといえばよく聞こえるが、普通にコンプラ違反で笑える。
本書1P目が自由研究の計画書なのだが、先生にくれぐれも関係者に直接コンタクトとって迷惑をかけないように、と釘を刺されているにもかかわらず、次のページで早速インタビューしており目を疑う(笑)
この体当たり暴走JKの捜査が真実をこじ開けてゆく様が本当に読んでいて楽しい。こんなに都合よくいくかよ、とは思うものの、ピップも普通に有能で、プリンタにそんな設定あったんだ、など手法に驚くこともしばしば。このご都合主義とのバランスが見事だった。
冒頭でインタビューした犯人(と思われてる人)の弟と一緒に調査をすることになるのだが、この人も有能で、ハイテンポで隠れた真実が明らかになってゆく。身近な人に意外な側面が、というのは割りと普通だが、日常が丁寧に描かれてるので、よりホラーを感じる。
主人公ピップが完璧じゃないところも良かった。普通に女子高生なので、犬を人質にされ犯人の言うがままになってしまったりする。普通の警察モノや探偵モノでは絶対こんな展開ありえないよ(笑)
ただ、ラスト、事件解決後の展開はちょっと閉口かな。主人公がヒーローになるノリは理解できるが、手法が知られたら普通に叩かれるでしょ、と思っちゃう。ジュブナイルに野暮なツッコミなのだろうか。
ちなみに、謝辞も笑えたので、普段謝辞は読み飛ばす人にもおすすめ。