『ボビーZの気怠く優雅な人生』ドン・ウィンズロウ(著)東江一紀(訳)
海兵隊あがりの冴えない泥棒ティム・カーニーは、服役中の刑務所で正当防衛のためにヘルズエンジェルズの男を殺し、塀の中にいながら命を狙われる身となった。生きのびる道はただひとつ。ティムの容姿が、南カリフォルニアの伝説的サーファーで麻薬組織の帝王、ボビーZにそっくりであることに目をつけた麻薬取締局の要求を飲み、Zの替え玉となることだった―。愛すべき悪党どもに、ミステリアスな女。波の音と風の匂い。気怠くも心地よいグルーヴ。ウィンズロウが新境地を切り拓いた最高傑作。
もうひたすら爽快。この一言に尽きる。様々な勢力が主人公を殺そうと追手を差し向けるも、返り討ちにあい、「連続ドラマのような犯罪ワンマンショー」ではないか! と憤っており笑う。敵同士がかち合ったりして、尚笑える。
ピンチの連続、ユーモア、ロマンス、子供への愛情、いろんな要素が素晴らしいテンポで止めどなく押し迫るので、最後まで全く退屈しなかった。
物語をより盛り上げるのが伏線。その設定は無理だろと思ってたら伏線だったり、えっこいつが!? といった予想外の伏線も沢山で、過剰なほど。相乗効果でお話をより盛り上げる。ラストはニヤニヤが止まらない。
ちょっと運が良すぎるし、元海兵隊員だからって強すぎるのが好き嫌い分かれるポイントだが、そういうものだと割り切って楽しむのが正解。
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