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『天冥の標 Ⅷ ジャイアント・アーク PART1~2』小川一水(著)

西暦2803年、メニー・メニー・シープから光は失われ、《咀嚼者》の侵入により平和は潰えた。絶望のうちに傷ついたカドムは、イサリ、ラゴスらとともに遥かな地へと旅立つ。いっぽう新民主政府大統領となったエランカは、国家再興に向けた苛酷な道へと踏み出す

パート1では、1巻のB面+アルファ。イサリやラゴス、フェオの視点から1巻の顛末が語られ、あのラストの続きも味わえる。

パート2では、咀嚼者達とメニーメニーシープ臨時政府の戦争、アクリラの孤軍奮闘、カドム達のセレス北極紀行のお話。みな正しい歴史を認識し、何とか前を向いて生きてゆこうとする。

今までの過去篇がすべて統合され、本編が佳境に迫ってきた。

主人公達、やっぱり死んでなかったか、と思いつつ、カヨまで生きていたのは衝撃的。しかしこいつ中身はミスチフなんだよなぁ~と戦々恐々していたら、パート2冒頭から早速やらかしていて、展開の速さと、予想を超える残酷さに吃驚。アクリラはどうなってゆくのか目が離せない。

臨時政府側は、メニーメニーシープに冥王斑はまき散らされてしまったし、果たしてどうなるのかドキドキしていたら、いつぞや石工の作った根治薬が大活躍しており、災禍は免れそう。しかし一旋次が裏切って薬を持ってミヒルのところに持って行ったのが怖い。逆上の種にしかならなさそう。8巻では、咀嚼者良い所無しだし、ミヒルが全然出てこないし、嵐の前の静けさ的に怖い。次巻で逆襲されるんだろうなぁ。

根治薬といえば、カドムの冥王斑は熱出して終わってしまい、その後もウイルスをばらまいていない点が不可思議で、ウイルスが変化しているのか、カドム達が免疫を獲得しているのか気になるところだったが、実は薬は遺伝子薬で、子孫の体にも影響していたそうな。そしてそんなこんなで旅中イサリと仲良くなり、なんと良い仲に! 最終回でやれよ、と思いつつ、出し惜しみしない所が大好き。地球のエージェントも合流したが、どう助けるのだろう? 地球からも大分遠い所に行ってる様子だが…。しかしナノテクとか駆使しているので、文明は大分進んでいそうなので期待できる。

未だ不可解なのは、ダダーがなぜメニーメニーシープの電力を絞ったのか、という所。ドロテアの推力に回すため? そもそもドロテアはなぜ移動してるの? セレスは今どこなの? など謎が尽きず。

残念、といったら失礼だが、黄金の鍵が伏線だと思ったら只のアクセサリーだったのは悲しい。形見とはいえ、重要アイテムっぽかったのに。

しかし何よりこの巻で凄かったのは引きだろう。アクリラがぁ~~うわぁ~~、となる事必至。小川一水、えぐい。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF #天冥の標 #小川一水

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