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『いちげき(全7巻)』松本次郎(著)永井義男(原作)

時は幕末………大政奉還後、江戸幕府との武力決着を望む薩摩藩は幕府を挑発すべく、江戸にたむろする浪士たちをかき集めて「御用盗」なる武装集団を結成、「攘夷のための資金提供」を名目に夜な夜な江戸の商家を襲わせていた。
そのころ、江戸近郊の村々から百姓たちを集めた「選抜試験」が行われ各村から力自慢で有名な猛者たちが集結していた。
選抜試験を仕切る侍たちの狙いは? 選抜試験後に待っているものは?

ドラマ化のニュースを見て読み返す。
本作、パワー原理主義なので役者陣見て笑ってしまう。ゴールデンカムイもこんな感じになるんだろうね。最近の大河は血の一滴も流れないので、これもどうなるやら。

この漫画で一番好きな所はやはり剣戟シーン。圧倒的パワーとスピードでピュンピュンと手や指、首や目玉が飛んでゆく。グロいので耐性がない人は要注意。試し読みの第1話で片鱗(本番はこんなものではない)が体感できるので、ぜひチェックして欲しい。

無限の住人シグルイの系統なのだが、特筆すべきは剣閃の速さ。圧倒的に早い。飛天御剣流より早い。勿体つけず、一コマで複数アクション描いてる上、ゴパ、パキャン、バキュなどの擬音とともに人体が弾ける様から、圧倒的パワーと恐怖を感じる。
剣戟漫画を読むと自分も剣客になる妄想をするが、この世界だけは勘弁してほしい、と心から思う。死ぬイメージしか湧かない。

ストーリー、キャラも文句なしに良い。力自慢の農民を促成栽培で侍に仕立て上げ、薩摩の侍にぶつけるというものだが、当然無学の農民たちが思う通りに動くはずがなく、トラブルを巻き起こしてゆく。その上で、人物背景も丁寧に描かれており、見事としか言えない。サブキャラたちの隅々まで魅力に溢れてた。
さらに幕末という抗いようのない時代のうねりに翻弄されてゆく無力感がたまらない。まさに無情。

そして最高なのが、ライバルの伊牟田。薩摩の侍だが、主人公と同じ女郎を贔屓にしており、そこから奇妙な縁が芽生える様が笑える。まさに第2の主人公で、二人のラストバトルはため息しか出ない。
初読時、あれはナシだな、と思ったが、再読だとアリだわ。相手だって策をめぐらしてたわけだし。なにより、表情が全てを物語ってるし。

ちなみに、最終7巻には伊牟田の流罪時代のおまけ漫画がついてて、めちゃくちゃキュート。だが不毛なんだよな、と笑えてより可愛い。

松本次郎は銃のイメージだが、剣もイケるね。また剣戟もの書いてほしい。

試し読み

#読書感想 #読了 #ネタバレ #漫画 #時代劇

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