『天冥の標VII 新世界ハーブC』小川一水(著)
“救世群”が太陽系全域へと撤いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。シェパード号によって“救世群”のもとから逃れたアイネイア・セアキは、辿りついた恒星船ジニ号でミゲラ・マーガスと再会する。しかし混乱する状況のなかジニ号は小惑星セレスに墜落、かろうじて生き残ったアイネイアとミゲラは、他の生存者を求めてセレス・シティへと通信を送るのだったが―さらなる絶望を描くシリーズ第7巻。
お話は前巻の直後から始まり、引き続き地獄なのだが、地下に巨大シェルターが発見され、そこでなんとか子供たちだけ(5万人いるが)で生き延びてゆく。
その巨大シェルターは都合よすぎるだろと思いつつも、その幸運と釣り合いをとるかのように、試練が次々と巻き起こる。
5万人の世話でただでさえ忙殺されるボーイスカウトたちに、食糧問題、反乱、外敵等々次々難題が降りかかる。正直、読んでいるこちらが疲れた。(子供だけの避難生活はちょっとバイファムを思い出したが、これはそんなに可愛いものではない)
さらに主人公アイネイアの恋路もストレスで暗雲が立ちこめる。固唾をのんで見守るのでこちらも疲れる(笑)
さらにさらに、小惑星ではあり得ない地震、謎の重力増加など試練が続く。
読者も疲労困憊になった後半、ついにハーブC、メニーメニーシープの成り立ちが判明する。そう来たか! と感動するも、残念な真実が悲しい。
とはいえ、1巻に繋がるし、謎も何個か解けるので気持ちが良い。しかしなんで電力不足が? と新たな謎も出てくる。
残るは後半戦。果たして救世群とは和解できるのか? 楽しみ!