『宙に参る 1巻』肋骨凹介(著)
宇宙船が今で言うセスナ機ぐらい身近になった世界のお話。
機械やプログラミングに妙に長けている主婦・鵯(ひよどり)ソラは、病気で亡くなった夫の遺骨を義母に届けるため宇宙へと旅立った。
道中のお供は人工知能を搭載したロボットである息子の宙二郎(ちゅうじろう)。
長期渡航を目的として作られた巨大宇宙船、経由するコロニーやテラフォーミングされた星、いつか訪れそうな宇宙時代への期待が膨らむ、近未来サイエンス・フィクション。
最近稀有なハードSF漫画。なのにかなりゆるく笑える傑作。
いきなり主人公の旦那の葬式から始まるが、人が宇宙コロニーに住む時代なのに葬式や焼香文化が残っている不合理ギャップが面白い。リモートロボットで焼香する所が笑える。(焼香ロボ仕様欄に継香時間30hなどと書く芸の細かさも素晴らしいく、こういう小ネタは全編にあふれている)
現代日本から地続きの未来という世界観が最高。役所で順番待ちの紙が出てきた時には合理化してやれよって笑った。
また、リンジンとよばれるAIを楽々ハッキングできる主人公の謎と、それを追う公安や野次馬のドラマも見どころ。登場人物皆やけに頭が良いので士郎正宗漫画を彷彿とさせる。基本とぼけた感じだけど。
大筋以外にも、息子と呼ばれるロボはリンジンのようだし、第三話では人工知能に人権は無いという話も出てきたがので、息子がどういう定義、ポジションなのかが気になる。
さらに、この時点で情報過多ぎみなのに、旦那との馴れ初めもぶち込まれており、その最高に面白く続きが気になる所で1巻終了。トーチweb(3話まで無料で読めるよ)に追いつく。続きが気になるがトーチもしばらく更新されていない。待ち遠しい!