『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』 南原詠(著)
楽しくて一気読み! 最初はテンポ悪いし、説明口調だしで、小説へたくそなのかと思いきや、慣れてきた終盤は筆もノリノリで面白い。
タイトルに特許やぶりとあるので、特許をいかに回避するかとか、特許を回避したらその方法も特許が取られてたとか、そんなお話を想像していたが、まったく違って、わりと普通のミステリ。テーマが特許で、主人公が弁理士というだけ。しかし内容は、Vtuberのもとに測量機器メーカーから特許侵害の警告が届く、という現代的にして意味不明なツカミにぐっと引き込まれる。
人間ドラマも濃厚。というかキャラが濃い。それも当たり前で、特許侵害する方も警告する方もそれが当然の世界で生きてるハードネゴシエイターばかり。それらに指示を出す投資家も当然同レベル。皆当然のように要望をゴリ押ししてくる。正直陰キャは読んでてストレスを感じるレベル。
そんな人々がハイテンションに事件をかき回すので、ページをめくる手が止まらない。
竹田人造が好きな人にオススメ。あそこまで突出してないけど。
本編と関係ないが、作中に出てくる特許技術検索競技大会が実在するのと、最初のしょぼい事件が最後まであとを引いてるのに声出して笑ってしまった。