
『時間衝突』バリントン・J.ベイリー(著)
異星人との戦争で過去の遺産がことごとく失われた地球。異星人が遺した遺跡を調べていた考古学者たちのもとに、驚くべき資料が届けられた。300年前に撮られた一枚の写真に、現在よりはるかに古びた遺跡の姿が写っているのだ。遺跡は年とともに新しくなっているというのか?彼らは異星人の技術を用いてタイムマシンを開発し、過去へと旅立つ。アイデア派の鬼才が放つ究極の時間SF。
時間の流れは宇宙全体を覆うものではなく局所的なもので、さらには一方向でもない。なので運が悪いと正面衝突する。というアイデアSF。
しかしパニック系、終末系のお話ではない。さすがアイデアの人、バリントン・J.ベイリー、これに選民思想だとかエイリアン戦争とかをぶち込んでくる。
最初、ナチスのような白人至上主義社会の描写から始まるので、あれ? 違う本かな? と思ったが、戦時描写と並行し、どんどん新しくなる遺跡とタイムマシンが登場する。
しかし2章ではいきなりガラッと中華風宇宙ステーションの話になり、短編集だったかな? と混乱してしまう。続く章で話はつながるのだが、よくこんな構成を思いつくなと驚く。
どうしようもないじゃんと思っていたラストだが、超強引なハッピーエンドで笑えた。
ちなみに、ダン・シモンズのハイペリオンにも時間が逆行する遺跡がでてくる。時間衝突の方が古いのでオマージュなのかな?