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『指名手配』ロバート・クレイス(著)高橋恭美子(訳)

ロスの私立探偵エルヴィス・コールは、最近妙に金回りがいい息子タイソンのことを調査してほしいという母親からの依頼を受ける。どうやら少年は仲間ふたりとつるんで裕福な家からの窃盗を繰り返しているらしい。警察に捕まる前に逃亡中のタイソンを確保し、なんとか自首させたいという母親。だが、タイソンを追うコールの先回りをするかのように、何者かが少年の仲間を殺し、証人の口を塞いでいた。少年らが盗んだものに何か重大な秘密が隠されている? そしてタイソンの身にも危険が……。大評判となった『容疑者』『約束』に続く第3弾登場。

シリーズモノと知らずに読んだが、全く問題なし。構成とキャラが素晴らしいサスペンス。ラストが安易だけど、それ以外は最高なので、全体としては満足。

お話は、最近息子が分不相応な時計を身に着けてるし、多額の現金も部屋で見つけてしまった。犯罪に関与しているのでは? 調べてくれ。というシングルマザーからの依頼を調査する探偵パートと、殺し屋二人組が誰かを探しながら、関係者を殺してゆくパートが交互に描かれる。

探偵パートは、つてを使って、富豪宅への空き巣ですね、と速攻で解決するも、息子が逃亡。自主させるために警察より早く見つけ出す必要が出てくる。
逃亡先を調べると謎の死体に行き当たり…。
殺し屋たちの目的はなにか!? 果たして殺し屋と警察より早く子供を見つけ出せるのか!? 

冒頭から事件が解決する笑える構成、有能で良心的な探偵、殺し屋二人組の楽しいやり取り、量産される死体、阿呆なガキども、今までのシリーズで登場したであろう濃い人達、すべてが魅力的。
しかしやはり、殺し屋二人組、ハーヴェイ&ステムズが一番ステキ。エピソードや遣り取りが本当に楽しい。パルプ・フィクション味がある。作者も書いててさぞ楽しかったろうな。

空き巣の犯人は子供3人組なのだが、こいつらが心底ウザい。毒親の被害者、という一面もあるが、斟酌してもウザい。
最後、タイソンはほんのちょっと成長の兆しが見えるものの、アンバーは活躍してしまったがために、戻ってこれなさそう。
子どもたちの処罰までは描かれてないが、ただの仕事なのに命をかけたコールたちの心意気が子供たちに伝わればよいが…。と微妙な読後感。

ちなみに、コール&パイクシリーズの17作目だが、全然邦訳されてない。警察犬モノがピックアップされて訳されてるのかな? これはその続編扱いらしいが、警察犬は出てこないので訳者後書で陳謝されてる(笑)

#読書感想 #読了 #ネタバレ #海外小説 #サスペンス


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