『ご冗談でしょう、ファインマンさん』R.P.ファインマン(著)大貫昌子(訳)
森博嗣のエッセイにユニークさを盛大にぶちこんだ感じの一冊。ファインマンの明るさがひたすら眩しい。
また、原著タイトルは『好奇心まんまん人間』というだけあって、好奇心が凄まじい。さらに行動力もともなってるので、とりあえずやってみる。性に合えば続けてレベルアップしてゆくので、エピソードに事欠かないのがすごい。前世は絶対ファーストペンギンだよ。
ノーベル賞受賞者だが、難しい学術的お話は皆無。だが、科学や教育のあり方については熱く語っている。応用力ゼロの暗記詰め込み教育を危惧しているが、これって日本だけじゃなかったんだ、と驚き。
お話は、子供時代から執筆時代まで、ランダムな時間軸で思い出が語られる。
マンハッタン計画(原爆開発)のお話もあるが、科学者たちの缶詰合宿みたいな様子がひたすら明るく語られる。娯楽がなさすぎて、キャビネットの錠前破りの技をひたすら磨いてたりして笑った。そして他人のキャビネットから資料を借りてる(笑)
また、高校からドラムをもちだし、夜の森で叩いて叫んでたらインディアンと間違われてた話も大好き。
しかし、原爆つくっといて、戦後に日本旅行を楽しんでたりするのは、サイコっぽくてちょっと引いた。
以下、好きなエピソード。
ドアを盗むいたずら。オオカミ少年なので自白しても信じてもらえない。
MITをでても就職できず、5人しかいないメッキ会社に就職。
マンハッタン計画の男子寮生活、一人で部屋を使いたいがために、女の子を連れ込んでいるように偽装してたら大事に。
終戦後に人が足りなくて徴兵。精神鑑定で落ちてる。
日本旅行で帝国ホテルに宿泊し、ヨーロッパと変わらんではないか! 来た意味がないだろ、と日本旅館に移動。
そこの日本料理で、小鉢になにかの脳みそが入ってる。怖いが勇気を振り絞って食べた、という話を同僚にしたら、それは栗だと教えられる。
日本語も勉強してみるが丁寧語に挫折。
トップレス・レストランに週5,6で通っていたため、周辺の住民から訴えられた際、証人として出廷。
教科書選定の委員会になる話。業者がクズばかりで驚愕。