『天冥の標 Ⅵ 宿怨 PART1~3』小川一水(著)
西暦2499年、人工宇宙島群スカイシー3で遭難した《救世群》の少女イサリは、《非染者》の少年アイネイアに助けられた。二人は、氷雪のシリンダー世界を脱出するた めの冒険行に出発するが――。
一方、太陽系世界を支配するロイズ非分極保険社団傘下の、MHD社筆頭執行責任者ジェズベルは、近年、反体制活動を活発化させる《救世群》に対し、根本的な方針変更を決断しようとしていた。
大いなる転換点を迎える第6巻
イサリと石工のルーツのお話。
救世群が一線を超えてしまい、全面戦争に突入してしまい大惨事が巻き起こる。
まさかここまでやるとは & ミスチフ勝利で二重の驚き。とはいえ、やっと1巻とのつながりが見えてきて嬉しい。あと数ピースという感じ。
最初、イサリが救世群の少女として登場する所から衝撃をうける。小川一水、なんてエグイんだ! という悲しみと、救世群がなぜ咀嚼者になってしまうのかという恐怖で読書が進まず、おっかなびっくり読み進める。
さらにミヒルが 「I love you」というキーワードを仕込んだ時には、アイネイアが絡むどろどろの展開かと思い、また読書が進まず。この予想は外れたが、悲惨な展開は予想を超えてきた。
石工の正体も意外。こいつらのせいで話がこじれてしまった。人類としてはファーストコンタクトなのに、実に不幸な出会い方だ。1巻では不当に扱われてると感じたが、自業自得だな、コミュニケーションをおろそかにしたこいつが悪い、と思わざるを得ない。しかし今後変化してゆくであろうし、母星も何か行動をおこすだろうから期待しかない。
章タイトルで「天冥の標」というタイトルが使われたのも意味深。非感染者と救世群が和解の兆しを見せた章だが、ここで垣間見た心のありようこそ、天(世界?)と冥王斑との和解の道標、という事なんだろうか。最終巻では和解して終わる? というか、最終巻まで冥王斑をひっぱるのか?
救世群が元の体を取り戻すために、ジニ号の資源や技術が必要らしいが、ジニ号は墜落してしまった。ここからどう1巻につながるのか、人類は復興できるのか、次巻が楽しみでならない。
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