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『ニューロマンサー』ウィリアム ギブスン(著)黒丸尚(訳)
ハイテクと汚濁の都、千葉シティの空の下、コンピュータ・ネットワークの織りなす電脳空間を飛翔できた頃に思いを馳せ、ケイスは空虚な日々を送っていた。今のケイスはコンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だがその能力再生を代償に、ヤバい仕事の話が舞いこんできた。依頼を受けたケイスは、電脳未来の暗黒面へと引きこまれていくが……華麗かつ電撃的文体を駆使して放つ衝撃のサイバーパンクSF!
かっこよすぎて言葉が出ない。ハードボイルドでサイバーパンク。さらにAIモノとしても完璧。SF聖典の一つであろう。特異点といっても過言ではない。
攻殻機動隊やマトリックス、ブレードランナー、ニンジャスレイヤーに慣れ親しんだ我々にとって、既にサイバーパンクという言葉は陳腐に感じる。しかし今読んでも圧倒された。まず世界観でノックアウトされ、予想がつかないストーリー展開の連続でフルボッコにされる。80年代、当時これを読んだ人々の衝撃が計り知れない。上記ブレードランナー以外(映画はこの小説より前)は、本書の影響を強く受けたのが察せられる。そりゃ影響受けずにはおれんよね、と感じる。培養ニンジャとか卑怯だよ(笑)
今読んでも新しいな、と感じたのはAIの事。シンギュラリティという言葉は使われていないが、テーマはシンギュラリティそのもの。面白いのはAIの特異点突破に、人類が意識的にロックをかけてるところ。チューリングという組織で体勢的に取り締まっており、主人公たちはそれらと戦うことになる。
そして訳が素敵! 電脳という言葉は士郎正宗発案だと思っていたが本書がオリジナルだし、ウインターミュートを冬寂と訳すセンスに脱帽。話し言葉がさすがに古臭いが、それ以外の外連味はいまだ新鮮。
攻殻機動隊とかニンジャスレイヤーが好きな人は、ぜひ原点である本作も読んでみてほしい。